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信頼できる企業情報が足りていない現実

会計

※イメージです

 今回のような報道があるたび、私たちは「この会社にお金払って大丈夫?」と、不安になります。残念ながら、私たちに「大丈夫」かどうか判断することはできません。できるのは、SNSやクチコミサイトを見るぐらい。信頼できる企業情報が、まったく足りていないのです。

 不安になるのは顧客だけではありません。融資元や取引先など、多くの関係者(ステークホルダー)が、疑心暗鬼になります。根拠のない憶測が飛び交い、業界全体が落ち込んでしまいます。

 結局のところ、本件の原因は企業に「お金がなかったこと」です。企業にお金がどのくらいあるのか。負債が多すぎないか。知ることができるのは決算書です。しかし、2021年の決算書を公開(決算公告)しているのは全体の1.5%(※官報に決算公告した株式会社/全株式会社)だけ。大半の会社が公開していません。

行政は決算公告の厳格化を

 株式会社の決算公告は会社法で義務付けられています。100万円以下の過料という罰則もあります。しかし、罰則が適用されたケースがほとんどなく、機能していない、というのが実状です。

 決算公告がルール通りなされれば、「憶測」ではなく、数字に基づく「推測」ができます。精度の高い「推測」情報の発信が増えれば、私たちは判断しやすくなります。しっかりした財務状況の企業は、信用を高めることもできるでしょう。

 今回のような、一般消費者を顧客とする大手企業に万が一のことがあれば、被害は甚大です。私たちが、安心して物やサービスを購入できるよう、行政には、決算公告のルールを厳格化していただきたいと思います。

<TEXT/中小企業診断士 関谷信之>

ソフトウェア会社にて、プログラマー・生産管理・原価計算を担当(仕訳からセグメント別損益計算書作成まで一貫業務担当及び指導)。2003年、ウェブ制作者として独立(コンサル及びサイト構築)。2020年、中小企業診断士登録。Twitter:@kakanrilabo Website :経営管理研究所

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