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机をたたいて叱るのはアウト?対策が義務化した「職場のパワハラ」の境界線

学び

これはパワハラになる?4つの事例

職場

 次のようなケースはパワハラに該当するでしょうか。

【例1】上司が部下を叱る際、机を叩く、書類を投げつけるなどする。
→殴る蹴る等の直接的な暴力でなくとも、こうした行為の他に、壁を叩く、椅子を蹴るなどの行為も「身体的な攻撃」に該当する可能性が高いので注意が必要です。

【例2】遅刻や提出物の遅れを繰り返す部下に、一定程度の強さで注意を行う。
→業務上必要な範囲のことや、社会的なマナーが守れず再三注意しても改善しないとき、あるいはその仕事に非常に大切な点が守れないとき(食品を扱うのに身だしなみが清潔でないなど)、ある程度強く指導したとしてもパワハラにはなりません。ただし、注意する時の表現、頻度、方法が社会通念上相当であることが必要です。

【例3】部下が上司に対して集団で無視をし、職場で孤立させる。
→部下から上司に対してでもパワハラは成立しますし、同僚間でも同様です。

【例4】これまでと違う難しい仕事を任されるようになって気が重い。
→労働者を育成するため、現状よりも少しレベルの高い仕事をさせることはパワハラにはあたりません。ただし適切な指導があり、難易度が高すぎたり責任が重すぎたりしないこと、過大な業務量ではないことがポイントです。

部下に「パワハラ」と言われないためには?

 いわゆるセクシュアルハラスメントにおいては、受け手が不快に感じていることがひとつの判断のポイントですが、パワハラの場合は必ずしもそうではありません。

 上の例でも触れましたが、業務上の命令や指導に対して、指導された側が不快に感じても、それが即パワハラとなるものではありません。職務の性質上非常に大切なこと、強く求められることを守れない場合、その点について厳しく指導することは業務の範囲と言えます。

 一方で、業務の適正な範囲の指導であっても、激しい叱責や長時間にわたる叱責、威圧的・攻撃的な物言いであればパワハラに該当します

 指導をする際も、「全然ダメ」「ミスが多すぎ」「何考えてるんだよ」など相手を責める言葉ではなく、「納期は昨日だよ」「見積書に2か所ミスがある」など事実を取り上げて指摘するようにしましょう。また、叱るだけではなく、相手の良いところを認めて伸ばすような指導をしているかということも、その指導が適正なものか判断する上での大きなポイントです。

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