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メジャー選手が拳銃で頭を…コロナ禍で「若者の自殺」が急増した米国の現実

ビジネス

「自分自身のことも分からなくなった」

医療の現場―問診

 コロナ禍で働きづめになっている医師たちのメンタルヘルスの懸念が大きいと言われている。自殺についてオープンに話せる社会にしていくことが、自殺者を減らす解決策のひとつとなるそうだ。コロナ禍がスタートしてから、医療機関に勤める5人に1人がメンタルヘルスの問題や自殺願望のために仕事を辞めていた。

 雑誌「ザ・アトランティック(The Atlantic)」の2021年11月16日付けの記事によると、集中治療室の看護師(14年間勤務)だったキャシー・アレクサンダーさんは、こう語る。

「コロナ禍で9か月間働き、これまでに見たこともない数のコロナ感染患者の死に接して、死に関して無感覚になった。一生懸命看病しても死亡してしまった患者の家族から“もっと手を尽くせたのではないか”と責められたことも。勤め先の病院からは商品のように扱われている気持ちになり、自分自身のことも分からなくなった」

 その当時、彼女は友人に「人々の命を助け続ける職場で、私は自殺のことしか頭にない」と伝えていたという。その直後、PTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断され、彼女は勤め先を辞めた。

メジャーリーガーの自殺未遂

 同じくコロナ禍の2020年4月16日、メジャーリーグのチーム「サンフランシスコ・ジャイアンツ(San Francisco Giants)」とマイナー契約を結んでいた外野手のドリュー・ロビンソン(Drew Robinson)さんは、28歳になる4日前だったが、拳銃で自らの頭部を撃ち自殺を図った

 しかし翌朝、怪我のひどい痛みで目が覚め、もう一度、拳銃で自殺をし直そうと思ったが止め、緊急通報番号の「911番」に連絡して一命をとりとめたという。この自殺未遂から生還し、現在、同チームでメンタルヘルスのアドバイザーとなっている。

 スポーツ専門ケーブルテレビ「ESPN」の記事によると「ロビンソンさんは、長年、うつ病と自殺願望に悩まされていたが、コロナ禍が事態を悪化させた。コロナ禍で試合はなく、ラスベガスの自宅で孤独を感じていた」という。

 ロビンソンさんは「“ああ、今日は幸せだ。 僕の人生はこのままずっと幸せだ” というのと、その逆の “今日は大変な一日だった。でもこれがずっと続くわけではない” というのは同じことなんだ」と話している。

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