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四国新聞の“報道”に抱いた違和感。衆院選「香川1区」ウォッチしたダースレイダーが解説

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メディアの選挙報道の歪みを感じている人も

 つまり、エリアのシェア6割を占める新聞が、選挙前に批判的な記事を書くときに本人に取材する必要がないと考えているということです。その新聞にのみ接している人はどういう世界を見ることになるのか、それは想像に難くないでしょう。この一件から、メディアの選挙の報道姿勢の問題の一端が浮き彫りになったと思いました。

 今回、メディアの事前予測の多くは外れました。東京8区は吉田さん優勢、香川1区は接戦で四国新聞ですら小川優勢を報じてはいます。ただこうした字面での接戦や優勢は、実際に現地の選挙区に行って体験してみるとそれぞれの陣営の雰囲気や熱気は全然違います。祭りの気配が立ち込めている陣営と、動員や組織票で固めていく陣営が競っていても、字面だけだと接戦になります。

 実際、茨城6区では自民党公認の国光文乃候補を岸田さんが応援に行った際、日当5000円の動員がなされていた疑惑が報じられました。これは公職選挙法違反の可能性もあり、形だけ似せた“擬似祭り”のようなものでしょう。このあたりの空気を実際に体験できたのが、本当に有意義だったと思います。

 最後に余談ですが。僕らは四国新聞さんの記者を追っかけて本社まで行ってFAXも送って聞いてやったぞーとか思っていたんですけど、「香川1区ナンデス」の撮影スタッフが後から動画をチェックしていたところ、小川淳也議員事務所に着いたときから四国新聞の若い記者さんが僕らのことをずっと撮影していたことが判明して。踊らされていたのはどっちなのかわからなくなりました。

 そういった意味でも四国新聞さんの今後の報道にも注目です。

<文・撮影/ダースレイダー>

1977年パリで⽣まれ、幼少期をロンドンで過ごす。東京⼤学に⼊学するも、ラップ活動に傾倒し中退。2010年6⽉に脳梗塞で倒れ合併症で左⽬を失明するも、現在は司会や執筆と様々な活動を続けている。

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