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コロナ禍の米国で食肉離れが加速。「食肉ノー」の料理レシピサイトも

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 コロナ禍の日本では食肉の需要が増えている(公益財団法人日本食肉流通センターの2021年5月報告書P16による)。しかし、米国では逆の現象が起きている。消費者の食肉離れが進んでおり、その代わりに「代替肉」(原料は植物)に注目が集まっているのだ。

植物肉

※イメージです(以下同じ)

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 米国テレビ局NBCの今年5月28日付け記事(英字記事)によると、「2020年春、国内の食肉加工工場の多くで従業員のコロナ感染が拡大し、主な工場が一時閉鎖され食肉の供給が一時ストップ。そのため品薄となった食肉の値段が高騰した。そんななか、消費者の多くに食肉離れが起こり、代替肉が注目を浴びている」という。

コロナだけじゃない食肉離れの背景

 食肉加工工場が一時閉鎖した際、全米のスーパーマーケットや食料品店の多くは、食肉の販売制限を行ない、代わりに代替肉の販売を積極的に行なった。

 消費者の食肉離れの要因は他にもある。コロナ禍における食肉加工工場の衛生管理のずさんな実態が大きくテレビや新聞で報道されたため、多くの消費者が「この肉はどんな状態でどこから来たのか?」と気にするようになってしまったのだ。

 食肉を食べないベジタリアン(菜食主義者)やペスカタリアン(魚介類は食べる菜食主義者)やヴィ―ガン(完全な菜食主義者)、またはフレキシタリアン(柔軟な菜食主義者)ではなくても、一般的な消費者が代替肉に興味を持ち始めている。

 たとえ食肉に新型コロナウイルスが付着していても、食べて感染するリスクは低いと報道されている。しかし、コロナ禍で健康志向が高まった消費者の多くは、「食肉加工工場の衛生管理が不安」「食肉に比べて代替肉はカロリーが低く、コレステロールはゼロ。健康によい」「オーガニックの食肉ではない限り、ホルモン剤や抗生物質を使用した食肉は健康によくない」と考え始めた。

代替肉の需要が2.7倍以上に

食事法

 さらに、環境問題(地球温暖化や森林破壊など)に意識が高い消費者は、「畜産業は、温室効果ガス排出、森林破壊、水資源の大量消費など、環境を破壊する主な原因となっている」「食肉を食べるのは動物愛護に反している」というふうに考え、食肉離れが加速している。

 近年、多くの事業分野で注目されている「サスティナビリティ(持続可能性)」。「代替肉」は“持続可能な食料供給を実現する方法”のひとつとされており、この観点からも代替肉は注目を浴びている。

 市場調査の「ニールセン」がコロナ禍(2020年4月11日までの4週間)に調べたリポートによると、代替肉の需要は前年比で272.2%急増している

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