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“日本的なもの”に光を当てた東京五輪

 東京五輪をやってよかったという論考はたくさんあると思います。僕もそれはあると思っています。東京五輪は日本的なもの、昭和的なもの、日本社会なるものに光を当てたからです

 これは、元・東京五輪組織委員長である森喜朗氏の性差別発言もそう、開会式の直前にあったゴタゴタもそう、開会式でセネガル人ミュージシャンを突如出演させない決断もそう、試合会場への旭日旗持ち込みにこだわる人たちの存在もそう、海外の報道記者などに向けられた冷たい視線もそう、そして聖火リレーの最終ランナーを務めた大坂なおみ選手が3回戦で敗退したあとのヤフコメなどに見られた日本社会のバックラッシュもそうです。

 さらに、のちに削除されましたが、スポーツ雑誌『Number』編集部の公式Twitterがスケートボードメダリストのスカイ・ブラウン選手について「日本人としてスカイに日本の血が流れていることを誇らしく思う人も少なくない」などとツイートをしたという人種差別に直結するような出来事もありました。

開催中に世界に向けて発信されたこと

最終聖火ランナーを務めた大坂なおみ選手

最終聖火ランナーを務めた女子テニスの大坂なおみ選手

 東京五輪がなかったら、これほど見事にこういった日本の側面に光が当たることはなかったのではないでしょうか。

 これは、菅義偉首相がかつて五輪開催に対して言っていた「世界全体がコロナ禍という困難に直面しているからこそ、人類の努力や英知を結集して乗り越えられるということを世界に発信したい」ということを良くも悪くも表しています。

 開催中の話で言うと、バブルという虚偽、アプリなどを使って効率的に選手や関係者を送迎する輸送システムの不全、ロジスティクスの甘さ、そして日本の猛暑を“アスリートにとって最適の気候”と表現した招致理由が嘘だった、ということが世界に向けて発信されたわけです。

 こういったことこそが、東京五輪の大きな功績だと思います。

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