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“ソース離れ”の若者を狙う「ブルドックソース」創業110年目の挑戦

ビジネス

コロナ禍だからこそ、競合と手を取り合って

 2020年からのコロナ禍で、世の中の価値観やライフスタイルは大きく変化した。在宅が多くなり、巣篭もり特需が生まれたことで、食品や調味料の消費機会も増加している。そんななか、ブルドックソースは他の調味料メーカーとコラボし、新たな調理用途やレシピの訴求を行なっているという。

「調味料は一度購入すると長持ちする商品で、料理で使用する機会がないと減っていかず、新たな購買に繋がらない。調味料の消費量を増やすためにも、他社と手を取り合ってさらなる市場を拡大していかなくてはならないと感じていました。

 そこで、カゴメさんやマルコメさんといった企業とコラボし、メーカー主導でお客様に美味しい料理のレシピ提案を行っています。カゴメさんに至ってはライバルだったこともあり、『禁断のコラボ』と称して打ち出したところ、幸いにも注目の取り組みとして話題になりました」

ソース離れが進む若年層をターゲットに

ブルドックソース

2021年2月に発売した「ブルドック Jソース500g」

 2021年2月からは新商品「Jソース」を発売し、新たなニーズ喚起や顧客層の開拓にも尽力している。ソースの常識を捨て、今までにない商品として世に出した経緯について「多様化する調味料に対して一石を投じたかった」とし、次のように説明する。

「『そもそもソースの常識とは何か』と考えたとき、ブルドックソースの定番品である『ウスターソース』『中濃ソース』『とんかつソース』と、メニューごとに使い分けていただく想定で今まで訴求をしてきました。でもよく考えたら、ソースばっかりこんなにいらないのでは……と。ソース1本で事足りるような商品も出せば、新たな層にもアプローチできるのではと開発したのが『Jソース』です。

 また、ソースをあまり食べないお客様の声の中で『味が濃すぎる』『量が出すぎる』といった意見もあったので、どの料理にも合うすっきりとした味にブレンドし、ボトルに関しても量の調節がしやすいものを開発しました。定番品は引き続き販売促進をしていきつつ、Jソースはソース離れが進む若年層を中心にアプローチしていきたい」

 ソース業界のリーディングカンパニーが臨む新たな挑戦。さらなる躍進が期待される。

<取材・文・撮影/古田島大介>

1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

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