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“ソース離れ”の若者を狙う「ブルドックソース」創業110年目の挑戦

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月島もんじゃ振興会とのコラボが大ヒット

ブルドックソース

月島もんじゃ振興会協同組合とタイアップして発売した「月島もんじゃ焼材料セットソース味」

 2000年以降は選択と集中を行い、創業以来取り組んできたソース事業に注力。鈴木氏は1990年入社。同社初の女性セールスとして家庭用営業、営業企画、業務用営業の役職を経て、現在は執行役員を任されるなどキャリアを歩んできている。そんな鈴木氏に、これまでのヒット商品について聞いてみた。

「ウスター・中濃・とんかつソースはロングセラー商品として、多くのお客様に愛用いただいておりますが、『月島もんじゃ焼材料セットソース味』のヒットも印象深いです。弊社が中央区に社屋を構えていることもあり、中央区の町おこしの一環として月島もんじゃ振興会とタイアップして2000年に発売しました。発売当初は、羽田空港や新幹線の車内販売などでしか買えないお土産品として訴求したこともあって、大きな話題になったんです。

 そんな状況を知って、多くのスーパーのバイヤーの方からの要望もあり、スーパーへ販路拡大をしていきました。『お店で食べるもんじゃ焼を、なんとか家庭でも再現できないか』という想いのもと、試行錯誤しながら開発したのが功を奏したと思いますね。現在のコロナ禍では、巣ごもり需要も相まって、例年に比べて一時は150%近くの売上になり、生産が追いつかなくなるほど、需要が伸びました

高級志向を狙った贅沢ソースを出すも…

ブルドックソース

 他方、満を辞して世に出した商品のなかで、いまひとつ伸び悩んだのが「ブルドック 贅沢ブレンド」シリーズだそうだ。高級志向を狙った商品だったものの、「反響を呼ぶほどのヒットには繋がらなかった」と鈴木氏は振り返る。

「定番品よりもワンランク上の、ちょっと贅沢なソースを作ろうと『贅沢ブレンド 中濃ソース』『贅沢ブレンド とんかつソース』を発売しましたが、あまり手に取ってもらえませんでした。お客様は昔から慣れ親しんだ調味料を使うのが常で、なかなかその慣習は変えられない。要は美味しいか、まずいかではないと。

 買い物をする際にお客様は、調味料の棚に“5秒”しかいないというデータもあるほどで、あれこれ迷わずに『これ!』と決めたものを手に取っている。長年、愛用している調味料以外にはあまり注目をしてもらえないという『調味料の新商品開発の難しさ』を改めて実感する機会となりましたね」

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