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アマゾン本社も導入、“日本式の経営”が今も注目されている理由

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日本の経営技術に注目が集まる理由

日本経済 イメージ

 次に、現代において日本の経営技術に注目が集まっている理由には大きく3つあります。

 1つ目には少子化・高齢社会化に苦しみながらも現在でも世界3位の経済規模を維持し続けていること、2つ目には新型コロナ禍において日本企業の災害への対応力が再評価されていること、3つ目にこれまで安価な生産拠点として活用されてきた発展途上国の賃金が国際的に上昇している中で日本のコスト削減技術を学ぶ機運が高まっていることです。

 最初の点について、日本は「課題先進国」などと呼称され、少子化・高齢社会化や生産拠点が海外にシフトしたことによる国内産業の空洞化などの多くの問題を抱えながら、現在でも一応は経済大国の位置にあります。

 多くの国は、これから数十年で多かれ少なかれ今の日本と同じ状況になると考えられるでしょう。そんな中にあって、「なんとか経済大国にとどまっている」日本の企業から学ぼうという機運があるのです

復旧力の高さが評判に

 次に、新型コロナ感染症の流行の中にあって、日本企業の災害対応力が再評価されているという状況があります。前提として、日本企業は地震や台風など自然災害の多い環境において復旧力を高める能力構築をおこなってきました

 たとえば、重要部品の生産拠点が災害にあった場合に備えて常に別の供給ルートを用意しつつ、同時に復旧支援部隊を組織し、さらに場合によっては自社で部品生産できるよう生産知識を保持しておくといった具合です。

 こうした経営技術は、新型コロナ感染症の拡大によりひとつの部品工場の操業停止が世界中の工場の操業停止を連鎖的に引き起こす中で、逆に「日本の工場は新型コロナ禍にあっても止まらない」という評判につながりました

 実際に、需要が回復するやいなや日本の製造大企業のいくつかは過去最高益を更新し、さらにドル建て日経平均株価が過去最高値を更新したことは多くの読者の記憶に新しいところでしょう。

日本“式”経営の逆襲

日本“式”経営の逆襲

コンセプト化・パッケージ化が弱かったのは日本企業だけではなく、筆者含めた研究者や、日本政府も同様である。ようするに日本の産官学全体の問題であった。この点も、現状で思いつく限りの処方箋らしきものを本書において探索していく

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