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アマゾン本社も導入、“日本式の経営”が今も注目されている理由

ビジネス

「日本の経営を学ぶ勉強会」を定期的に開催

浙江吉利控股集団

 日本企業の経営技術に注目している企業は米国Amazonに限りません。たとえば、スウェーデン企業ボルボの親会社でドイツ企業ダイムラーの筆頭株主でもある、中国の浙江吉利控股集団などは、日本の経営学者を中国に招き、「日本の経営を学ぶ勉強会」を定期的に開催しています。さらに、吉利グループは、日本企業に定年まで勤めた生産管理人材に高給をオファーして顧問として雇ったりもしています。

 少し歴史的な話をしますと、外資系コンサルティング業界の雄、ボストン・コンサルティング・グループ(ボスコン)の創業者ブルース・ヘンダーソンも、日本の経営技術を研究していた時期がありました。彼は、1986年に「The logic of Kanban(カンバン方式の論理)」という論文を『The Journal of Business Strategy』誌に発表しているほどです。

戦後の日本企業からヒントを得ていた

 それでは、過去から現在まで日本の経営技術に注目が集まっている理由はなんでしょうか。その理由は多岐にわたりますが、まず、過去に日本の経営に注目が集まった理由は戦後の日本の経済発展にあります

 ボスコンの初期メンバーの回顧録の中には、一般的にはボスコンが米国大企業との共同研究から開発したとされる「プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(成長率と市場シェアとの2軸を使って、事業を花形・問題児・負け犬・金のなる木の4つに分類して資金の流れを考える経営戦略ツール)」が、戦後の高度経済成長期における日本企業の躍進についての研究からヒントを得ているとするものもあります。

日本“式”経営の逆襲

日本“式”経営の逆襲

コンセプト化・パッケージ化が弱かったのは日本企業だけではなく、筆者含めた研究者や、日本政府も同様である。ようするに日本の産官学全体の問題であった。この点も、現状で思いつく限りの処方箋らしきものを本書において探索していく

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