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入社0日で辞めた人も。新卒1か月で退職するZ世代の本音

学び

早期離職の経験を生かし人事職へ転身

新卒1か月退職組

人事担当者として人前に立つ森谷さん。自身の経験をもとに就活に関する情報発信も行う。Twitter(@taisukemoritani)

 通常の転職以外の手段を考え、森谷さんは内定を辞退した会社に連絡。インターン時に高評価だったことから再就職にこぎ着け、’18年9月から人事を担当している

「僕が早期離職して苦しかったことと会社側も人を雇うときに想像以上にコストが発生することを知り、新卒の会社は僕を選考で落とせなかったのだろうかと考えるようになりました。それがきっかけで人事を希望し、今はギャップのない採用に尽力しています」

 早期離職のハンディを負っても柔軟に生きるのがZ世代なのだ。

Z世代が早期離職する理由とは?

 企業にとって早期退職は大きな痛手だ。キャリアコンサルタントとして転職支援を行う末永雄大氏に、Z世代の早期離職の背景を聞いた。

新卒1か月退職組

末永雄大氏

「Z世代は人間関係の外圧が少ない傾向があります。理由のひとつが親子関係の変化です。今の若い人は、親子の仲が良く、良くも悪くも友達のような関係。特に都市部の大学などに通う学生は、『良い大学』『良い会社』という親がレールを敷いてくれたことに感謝し、反発せずに努力してきたタイプです。カミナリオヤジのような昭和的な親とぶつかる経験がないまま育ったのに対し、企業の体質は古い縦社会のまま。そのためギャップを大きく感じやすいのです」

 また、学生の友人関係の変化も大きく影響しているという。

「大学の友達よりもSNSの友達が中心で、似た価値観の人としか群れないところがあります。テキストのやり取りが基本なので、あまり深く踏み入らない人間関係である点も、会社組織に馴染みにくい要因です

 そんなZ世代には、どんなマネジメントが求められるのか。

「転職が当たり前の世代なので、会社目線ではなく、市場価値ベースで本人にとっての利点を提示することが大切です。当人が何をしたいかを引き出して紐付けするように論理的に説明すれば、素直な子たちが多いので、懸命に仕事してくれるでしょう。何も説明せず『いいからやれ』は禁句です」

【末永雄大】
キャリアコンサルタント。アクシス代表取締役。キャリアコーチング「マジキャリ」や転職メディア「すべらない転職」など転職キャリア支援サービスを展開

<取材・文/伊藤 綾 松本果歩 高田彰吾 ツマミ具依 写真/PIXTA>

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