入社0日で辞めた人も。新卒1か月で退職するZ世代の本音
新年度が始まり、早くも4分の1が終わろうとしている。未来ある若者たちは新たな夢を追う。出会いがあれば別れは避けられないが、早すぎる別れを決断した早期離職者たちのその後を追った。
あっという間に退職したあいつ、今何してる?
「同期が次々と就職先を決めるなかで焦っていたこともあり、適当に受けた会社の内定を承諾しました。あとでネットでボロカスに書かれているのを知り、入社前から嫌な予感はしていたんです」
そう語る工藤茜さん(仮名・22歳)は、この春に某私立女子大学を卒業。昨年11月に内定が出た自動車販売ディーラーの会社をわずか7日間で退職した。
「仕事は販売店の受付と営業事務でした。出社すると職場にはロッカーも更衣室もなく、制服はトイレで着替えるように言われて、『制服を義務付けているのになぜ?』というのが最初の違和感でした。入社日の2時間後には事前研修も何もないままお客様の受け付け業務をすることになり、2日目には『もう慣れた?』と先輩から聞かれて困惑。席も新入社員分は用意されてなくて立ったまま。お客様が集中して忙しいときでさえ助けてもらえないし、あまりにもヤバい会社だと判断しました」
見切りをつけた工藤さんは、休日にLINEで採用担当者に退職する旨を連絡。今後は大学時代に働いていたアパレル関係のバイト先で正社員登用を目指すそうだ。
このように、1か月もたたずに会社を辞める新入社員は、少なからず存在する。20代の若手に特化した人材紹介会社UZUZが、第二新卒(就業経験が3年以内)として転職活動をする20代に対して会社の在籍期間を調査したところ、3.8%が1か月未満だったという(調査実施日:2019年9月19日~2020年1月8日)
そんな早期退職の道を選んだ彼らは、その後どんな人生を送っているのだろうか? 取材するといわゆるZ世代にあたる若者の仕事観が見えてきた。
ネットの著名人が手招く「嫌な仕事は辞めよう」
スポーツ系の専門学校を’19年春に卒業した瀬越翔太さん(仮名・22歳)は入社1か月で退職。約2年間でアルバイトも含めて、10社ほどの職場を渡り歩いてきた。その様子をYouTube「せわしせわしチャンネル」で配信している。
「スポーツクラブなどの内定もありましたが、職場が東京で、きれいな寮つきの福祉の会社に入社しました。辞めた原因は仕事内容。高齢者へ運動指導を行うはずが、実際は介護に近かったんです」
転職エージェントを使い、北関東のリフォーム会社で正社員の訪問営業職に就いたり、派遣社員としてケータイショップで働いたりもしたが、半年も続かなかった。
「派遣会社の担当者に『新卒1か月で辞めていると心象が悪いから、就職せずにずっとバイトしていることでいい?』と言われてから、そんなもんなのかと職歴も適宜ごまかしています。そもそも職歴欄に書き切れないですし。当然、応募しても面接官は『すぐに辞めそう』と思うはずですが、僕自身が『またすぐ辞めそうだな』って思ってますから。辞め癖がついちゃったところはあります」
ちょうど今年4月に再就職した会社を辞めたばかり。再び無職になったが、今後は職業訓練で資格を取って仕事の幅を広げつつ、極力お金を使わない生き方を志向していくという。
「ネットには『嫌な仕事は辞めちゃえ』と言う人がいっぱいいるので、それに影響されている部分はあります。実際、計算したら地方なら月10万円稼げば生きられるし、それなら日雇いでも稼げるので。常に履歴書が隣にある生活はめんどくさいですけどね」