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アイリスオーヤマ、初のノートPCがSNSで酷評 「貧弱なストレージ」になった意外な理由

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PCの新たな販路創出となるか

MUGAストイックPC3

画像はドン・キホーテの公式サイトより

 アイリスオーヤマのパソコン事業参入を受け、真っ先に思い浮かぶのは「ドンキPC」の事例である。ディスカウントストアの「ドン・キホーテ」は2017年、激安ノートパソコンの「MUGAストイックPC」を発売して話題になった。

 構成は最小限のもので、マニアからは設計や工作の悪さが指摘されたものの、当時の価格で1万9800円(税別)まで価格を下げた「ドンキPC」は独特の存在感を示した。2021年3月現在では、性能を高めた「MUGAストイックPC3」が販売中だ。

 専門店以外をパソコンの販路にする試みは、以前から行われてきた。アメリカのウォルマートは2000年代に自社ブランドのノートパソコンを展開したし、西友の大型店には今もパソコン売り場がある。アイリスオーヤマ製品の販路には大型スーパーやホームセンターが多いため、そのルートを活用したい目論見だろう。

 ただし、「気軽に行ける地元のお店」で戦うのだとしても、前述したドン・キホーテのほか、「ヤマダ電機」や「ノジマ」のロードサイド店というライバルがいる。郊外においては、中古販売の「ハードオフ」が強いことも忘れてはいけない。

今後は魅力ある製品を期待したい

 ここまで述べてきたように、アイリスオーヤマのLUCA Note PCは全然“お買い得”ではない

 読者の方には、たとえ子ども用であっても、通販などでより高性能なモデルを選ぶことをおすすめする。メモリとストレージを両方とも欲張ったところで、その価格帯はLUCA Note PCと大差ないわけだから。

 文科省が掲げている通り、「すべての子どもが自分専用のパソコンを持っている」状態は理想的である。教育現場が公費でLUCA Note PCを調達するかは定かではないが、アイリスオーヤマの販路であるホームセンターでパソコンが買えるようになれば、その普及に寄与するだろう。

 しかし製品としての魅力を欠いたままであれば、その商戦は厳しいものになる。アイリスオーヤマには、第2弾・第3弾として“お買い得”な商品を期待したい。

<TEXT/ジャンヤー宇都>

「平成時代の子ども文化」全般を愛するフリーライター。単著に『多摩あるある』と『オタサーの姫 〜オタク過密時代の植生学〜』(ともにTOブックス)ほか雑誌・MOOKなどに執筆

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