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元コンサルの福島プロバスケチーム運営者が見た「被災地10年目の現状」

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 東日本大震災から10年を迎えた福島県。いまだに震災の傷跡も残るなか、地元では多くの復興イベントが開催されている。2月27、28日には、バスケットボールを通じて、福島から世界に元気を届ける「FIRE UP! FUKUSHIMA東日本大震災復興10年イベント」が行われた。

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福島スポーツエンタテインメント株式会社の西田創副社長。会場のあづま総合体育館にて

 企画したのは、B.LEAGUE(Bリーグ)に所属しているプロバスケットボールチーム「福島ファイヤーボンズ」運営会社の福島スポーツエンタテインメント株式会社。今回、同社副社長の西田創さん(37歳)に開催に至った経緯や、被災地の現状について話を聞いた。

コロナ禍でも地元市民が集結

 取材を行った27日。復興イベントの会場となったあづま総合体育館(福島市)には、コロナ禍にもかかわらず、大勢の地元市民や子供たちが集結。

 福島ファイヤーボンズは、同じBリーグ2部所属の山形ワイヴァンズと対戦。試合は前半に大幅リードを許してしまったファイヤーボンズが、後半になって追い上げを見せるも、再び点差を空けられ、86-92で破れてしまった。

 試合が終わった直後、西田氏は「惜しいところまで追い上げたんですけどね!」と悔しさをにじませていた。取材の話題は、この日の直前2月13日にあった福島県沖震度6強の地震から始まった。

「地震があった翌朝、その日の試合会場であった福島市国体記念体育館に行ったら天井が剥がれていて。この状況だと3月いっぱい(体育館は)使えない可能性があると言われました。他の地域でも被害が出ていたのですが、幸いここの体育館は被害が少なく、なんとか復興イベントの開催にこぎつけることができました」

福島県の過去と未来を感じてほしい

福島

FIRE UP! FUKUSHIMA東日本大震災復興10年イベント© B.LEAGUE

 西田氏は福島スポーツエンタテインメント副社長に就任すると、ふるさと納税制度を用いた新しいスポンサーシップの形をBリーグで初めて導入。また、シニアの生活を支えながら地域のファンを広げていくシニアライフサポートなどのプランを打ち出していった。

 さらにチームのホームタウンである福島県郡山市にも移住。いわば福島県にとっては「外から来た人間」としてのプレッシャーを感じつつ、西田氏は今回のイベントにかける思いをこう語る。

「そもそもファイヤーボンズの結成は、震災後の原発事故の影響で、屋外運動ができなった子供たちの肥満率の低下を目的としたバスケットボールスクールの設立がきっかけとなっています。そして地域活性化を通して、夢と感動を与え続けるという目的があります。今回の復興イベントもその日だけ盛り上がるのではなく、福島県の過去とこれからの未来を感じていただけるものにしたかったです」

 その言葉通り、イベント会場には、地元新聞社の福島民報社が壮大なデータを集めて作った、震災からの10年史や復興のパネル展示。さらには福島県の特産品である地鶏や福島牛を使ったお弁当、お土産の販売まである。そしてモノマネアーティストのレパートリーは老若男女が楽しめる内容で、キッズ世代に大人気のYouTuberのハーフタイムショーなども実施された。翌28日には震災以降福島への思いを表現されてきたサンボマスターのライブも企画されている。

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