武田薬品、アストラゼネカetc.コロナで激動の「医療業界」社員1万件の口コミを読み解く
「法令遵守」1位の日本たばこ産業社員の口コミ
イメージがつかみやすいよう、「法令順守意識」観点で評価が高い企業のコメントと、口コミ数上位の中で「法令順守意識」観点が低めの企業のコメントをご紹介します。
【平均評価が高い:日本たばこ産業社員の口コミ】
コンプライアンス意識が非常に高く、法令遵守を徹底している。そのため、何かを考える時にグレーゾーンを考える必要がないので、かなり楽だったが、それでいいのかと思うこともあった。また、決められたやり方で決められた通りにやることを好むため、あるいは失敗を恐れることも多いため、新しいことにチャレンジするには一定のハードルがあった(スタッフ、在籍10~15年、男性)
【平均評価が低め:ノバルティスファーマ社員の口コミ】
D事件やS事件がなければ順調に歩みを続けていた企業とも取れるが、現在の姿を見るとそうでもない様にも見える。良くも悪くもヨーロッパ系のゆっくりじっくり取り組む風土が魅力であり特徴であったが、いつの頃から売り上げ至上主義の米国企業的姿に変化してしまった。
社長はじめとする上層部の入れ替わりが頻繁で落ち着きがない。良くも悪くも我関せず的なドライ感が漂い、企業文化の醸成が出来ていない。事業部単位で相容れないところがあり一体感に欠ける。
早期退職制度が度々起きている事からモチベーションをキープ出来ない人も多い。特に最近オンコロジー限定で早期退職案が発信され、これまで安泰と見られたオンコロジー部隊にも暗雲が立ち込めている。製品群を見れば、過去こそ圧倒的な売り上げを形成する製品が複数存在し、それに伴うサラリーも魅力的であった。
しかし、それら製品の特許切れが相次ぎ柱となる製品がほとんどない状況に陥っている(オンコロジー、営業、マネージャー、在籍10~15年、男性)
=====
基本的に医薬品・医療機器業界は法律による規制が強い業界であるため、法令順守意識は高い傾向にあります。
なお、ノバルティス社のクチコミ中のD事件=ディオバン事件、S事件=SIGN研究への不適切な関与のことを指します。公になっている事件の有無や規模も「法令順守意識」を測る重要な指標であるので、気になっている企業にそれらの事件がないかを調べることをお勧めします。
「20代成長環境」1位は意外な“あの企業”
続いて、「20代成長環境」について、スコアが高い順に企業を並び替えました。
【20代成長環境ランキング】
1位:アークレイ株式会社
2位:中外製薬株式会社
3位:株式会社シリウス
4位:インビザライン・ジャパン株式会社
5位:朝日レントゲン工業株式会社
6位:株式会社エイアンドティー
7位:株式会社陽進堂
8位:GEヘルスケア・ジャパン株式会社
9位:株式会社堀場テクノサービス
――――
14位:ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社
圏外:日本たばこ産業株式会社(2.6)
=====
ランキングの顔ぶれが大きく変わりました。「20代成長環境」ランキング1位の企業のアークレイ株式会社は、糖尿病検査をはじめとした医療用検査システムの研究開発・販売・アフターサポートを一貫して行っている企業です。
口コミ数上位の企業のランクイン状況は、1社もありませんでした。もっとも順位が高かったジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社も14位です。さらに、口コミ数上位の企業の中で「20代成長環境」スコアが最も低かったのは日本たばこ産業株式会社で、スコアは2.6でした。
イメージがつかみやすいよう、口コミ数上位の中で「20代成長環境」観点で評価が高い企業のコメントと、「20代成長環境」観点が低めの企業のコメントをご紹介しましょう。
【平均評価が高い:ジョンソン・エンド・ジョンソン社員の口コミ】
クレドに基づいた風通しの良い素晴らしい会社だと思います。もちろん実力主義なので、脱落する人も多々いますが、フェアな評価で満足してます(管理系部門、在籍15~20年、男性)
【平均評価が低い:日本たばこ産業社員の口コミ】
保守的な人間がおおく、特に上層部にそういった傾向が目立つ。基本的にリスクを負う判断はされないため、総じて動きが遅い。マッタリしているかと思えば、そういうわけでもなく、根回しのような作業を多分に求めており、日本企業のだめな側面をよく反映している。
会社としてのコンプライアンス等は非常に良く、やりがいや出世を求めずマイペースに過ごすには悪くない環境かもしれない(医薬事業部、医薬研究、在籍10~15年、男性)
=====
クチコミから、「20代成長環境」は新卒入社の社員への対応に現れることがうかがえます。ただし、私自身の個人的な経験を踏まえると、成長するための環境は用意してもらうものというよりは「やるしかないので夢中でやっていたが、後から振り返ると成長していたかもしれない」と事後的に気づくものであるようにも思います。
したがって、社内公募などの社内制度を利用したり、現在の仕事を可能な限り頑張ったりなどの動きが最低限必要になることは念頭に置くとよいでしょう。