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宮城・福島で震度6強。1週間でできる“地震の備えと対策”を専門家に聞いた

暮らし

不眠症や「地震酔い」の症状に注意

不眠症

 被災者の心身にかかるストレスも深刻だ。不眠症や揺れているように感じてしまう「地震酔い」、疲労・不安による強いストレスやPTSD(心的外傷後ストレス障害)が危惧され、特に乳幼児や子どもが災害後にこうした症状を訴えるケースが目立つ。

 なかなか眠れない時は、日中に太陽の光を浴びたほうが良い。安全な屋外で、体操などの軽い運動をする。地震酔いついては、深呼吸をする。落下しそうな物を床に下ろす。市販酔い止め薬を飲むことを推奨する。

 なお、どうしても症状が改善されない場合は、医師などの診察を受けること、また臨床心理士や保健師に相談すること。

過度な買い占めは控える必要がある

 これまでの事例から水やカセットコンロ、乾電池や懐中電灯が不足すると考えられる。ちなみに東日本大震災で深刻だったのはガソリン不足で、同様の事態が考えられるし、暖房用の灯油不足も考えられる。

 不足するであろう商品は、災害前の段階から用意しておく必要がある。ニーズが高いマスクや除菌スプレーも同様に不足する可能性も否めない。

 ただし、被災地のみならず、他地域の人も含めて過度な買い占めは控える必要がある。東日本大震災では、東日本地区の人が多めに買い物して、日本全体が「品不足」になっている。常識的な範囲内での買い物、相互助け合いの精神が重要ではないだろうか

 同じく東日本大震災の事例だが、港湾施設の被害でセメント、砂利、石灰、紙・パルプなどの輸送に影響が出て、日本全国の製造部門に波及した。東北は電気機械や通信機器の拠点となっており、首都圏はその部品に依存しているので、物流で影響が出ると、企業活動に影響するかもしれない。

 世界でもこれだけ大規模災害の発生する国は限られている。先日コロナ禍での自然災害対策に関する講演を札幌市で行ったばかりだったが、こうした啓蒙活動を全国で進める必要があると改めて思う。

<TEXT/防災・危機管理アドバイザー 古本尚樹>

防災・危機管理アドバイザー、医学博士。専門分野は新型コロナウイルス対策、企業危機管理、災害医療、自然災害における防災対策・被災者の健康問題等。企業や自治体の人材育成にも携わっている。個人サイト「防災・危機管理アドバイザー 古本尚樹

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