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500円の朝焼肉セットも登場。苦境の有名飲食店が参入する「朝ビジネス」

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 依然「解除」の兆しが見えない緊急事態宣言。時短営業が続くなか、コストをまかなえず、客の来ない無人の店で頭を抱える店と月180万円の協力金で潤う店で格差は広がった。もはや壊滅状態と言われる業界の明日はどっちだ。

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写真/時事通信社

時短要請に従うほうが損をする!?

 20時までの時短要請に従えば、対象の都府県では、一律一日6万円、最大186万円の感染拡大防止協力金が支給される。“協力金バブル”とも言われているが、店の規模によっては十分な金額とはならず、協力金をもらわず堂々と通常営業する店もある。

 なかには、表向きは閉店としておきながら常連を相手に“闇営業”して、協力金まで手に入れる店もあるようだ。

 都内で働くホステスは「別に驚くような話ではない」と語る。

「看板の電気を消して、鍵を閉めて、裏口からお客さんに入ってもらう。それで協力金ももらうという話はよく耳にします。勘違いしてほしくないのが、ホステスにとっては儲けるためじゃなく生きるため。協力金でお金が入るのは店であって、私たちは出勤しないと給料がもらえない。だから、店を開けてもらわないと困るんです」

曖昧な“営業”の定義

飲食業界

飲み屋街を通ると、閉店している店から飲み交わす声が聞こえることは珍しくない。その上で協力金ももらったとしても、外部からは判断しようがない

 都内にあるバーの店主に話を聞くと、ほかにも協力金制度の疑問点が浮かび上がった。

「一応、店は閉めていますが、20時以降に人が来たら『接客はしないよ』ってプライベート飲みの感覚でやっています。後ろめたさは多少ありますよ。だから正規料金はもらわずに、仕入れ代くらいにしてます。20時以降も人を雇っていたら闇営業かなと思うけど、これはグレーゾーンじゃないかと。営業とは何ぞやって話になりますね。営業の定義が曖昧なら、グレーの範囲で店をやって、もらえるものはもらっておこうってなるのが普通じゃないですか? 他の店もそんな感じだと思いますよ」

 この店では一日の売り上げが3万円あれば黒字になるという。

「“儲け”になる分は、生活が苦しい従業員の給与にしたり、同業者にカネを落とすのに使います」

 飲み屋街に入ると、感染者が減少したあたりから闇営業と思われる店は徐々に増えてきている。協力金が、正直者が損をする制度となってしまうなら、不平等感はさらに広がるだろう。

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