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ラジオに人生を救われた、若き女性起業家が目指す「話せば食べていける世界」

ビジネス

社内ベンチャー制度を経て社長に

 そして、その次に任されたブログサービスのプロデューサーの経験が、ラジオトークの発案のきっかけとなった。

「当時、スマートフォンの普及とともに、ブログの投稿者が減っているという問題点に直面しました。『発信したい』という人間の欲望は損なわれていないはずなのに、なぜか投稿者が減っている。ブログの閲覧者を見ると、スマートフォンからのアクセスが全体の70%程度あり、一方で投稿者の大半がパソコンからの投稿だったんです

 投稿数が減っている原因は、パソコンよりスマートフォンに触れる機会が増えているのに、スマートフォンでは投稿しにくいためだと気づきました。そこで『スマートフォンで、自分の考えを伝えやすい方法』を考えたときに、『話す』という着眼点を思い付きました

 音声ビジネスの可能性を感じた井上さんは、2016年に会社の『社内ベンチャー制度』に応募。翌年には、誰でも音声配信者になれる音声アプリ、ラジオトークの配信を開始した。

ギリギリのタイミングで資金調達に成功

ラジオトーク

1タップで簡単に配信が始められる気軽さも強みのひとつだ

「最初はプライベートの時間を使いながらやっていた」という事業だったが、2019年3月には株式会社化。2019年5月には、毎日放送系列のMBSイノベーションドライブから約1億円。2020年10月には、ベンチャーキャピタル(VC)のSTRIVE、Gunosy Capital、オー・エル・エム・ベンチャーズ、マネックスベンチャーズの4社から約3億円、合計約4億円の資金調達(第三者割当増資)を受けた。

 だが、背景では「コロナ禍」による事業プランの変更を進めながら、数十社に及ぶ出資の提案を重ね、資金ショートを目前に焦る日々があった。資金調達が実現したのはキャッシュが尽きる数日前だったという

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