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『ベルばら』『ゴルゴ』が異色コラボ。“全喫煙者必見”の動画が生まれたワケ

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 11月4日、JTが『ベルサイユのばら』および『ゴルゴ13』とコラボレーションしたWEB動画(「答えて! マリーさん」篇「答えて! ゴルゴさん」篇)を公開すると、ネット上では異色のコラボレーションに思わず反応する人が続出。12月7日までで、それぞれ650万回超、670万回超の再生回数と大きな反響を呼んでいる。

スーシャルディスタンス

渋谷にて、JT「スーシャルディスタンス」のキャンペーン

 動画は、非喫煙者のマリーアントワネット(以下「マリーさん」)、喫煙者のゴルゴ13(以下「ゴルゴさん」)が、マナーを考えるという内容。「スーシャルディスタンス」をうたっている。

 人との距離を保つソーシャルディスタンスに便乗し、非喫煙者との距離を改めて考えさせるスーシャルディスタンス……というコピーへのツッコミはさておき、なぜ『ベルばら』と『ゴルゴ』なのか。社内ではどういうふうにアイデアが出され、どういう風に決まったのか、JT渉外企画室 コミュニケーション企画チームの担当者に話を聞きに行った。

今年は、たばこの吸い方が大きく変わった年

 担当者は、このWEB動画を作ろうと考えた背景について、今年4月1日から「改正健康増進法」が全面施行されたことを挙げる。

 これは受動喫煙の防止を目的として、健康増進法の一部を改正したもの。大きなポイントは、多くの人が集まるような飲食店などの施設内において、原則屋内禁煙になったことだ。屋内喫煙には喫煙室の設置等が必要になり、またその表示も義務付けられる。さらに20歳未満の人は、喫煙エリアへの立ち入りが禁止となった。

 これまでもJTは、吸う人と吸わない人の共存に向けた啓発活動を行なってきたが、あくまでも喫煙者向けに“マナーを守りましょう”といった呼びかけが主体だった。しかし「改正健康増進法」下では、喫煙行動が大きく変わらざるを得ない。屋内禁煙になり、屋外で吸うことが増えるなか、喫煙者だけでなく非喫煙者にも喫煙所の役割を理解してもらわなくては、というわけだ。

「広告」そのものが関心を得られにくい?

ゴルゴ

JT「答えて!ゴルゴさん」篇より

 一方で制作チームには、「広告」そのものが、関心を得られにくくなっているのではないかという仮説があったという。テレビ番組も、録画したうえでCMをスキップして見る人が多くなるなど、興味があるもの以外は目に入れない人が増えている時代にあって、「ユニークで、インパクトがあって、楽しんでもらいながら見てもらう手法がいい」と思い立った。

 では、なぜ『ベルばら』『ゴルゴ』だったのか。

 喫煙という、今や肩身の狭くなった行動について、ストレートなメッセージを構えず受け取ってもらうためには、時代を超えて人気があるキャラクターが必然だと制作チームは考えた。さらに、今回は吸う人・吸わない人の立場どちらの視点も必要だと考え、最初からキャラクターは2人を予定していた。

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