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元ヤクルト・川崎憲次郎が語る「野村と落合」名監督のリーダー像

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運命じみた古巣との引退試合

 どよめくスタジアムの歓声とともに、落合監督の初陣となる開幕のマウンドに上がった川崎さん。

「開幕戦は、打たれてしまったんですけど、その後は逆転勝利。チームもセ・リーグで優勝しました。落合さんがシーズンの最終戦で挨拶した時に、『優勝できたのは、川崎がいたからだ』と言ってくれて……。もちろん嬉しかったですけど、活躍はしていないので、葛藤はありました」

 シーズンも終盤に差し掛かったとある日に球団事務所に呼ばれると、そこには落合監督が座っていたという。

「『来年は、ドラゴンズでは雇えない。引退するか、他のチームでやるのか。一度帰ってから、母ちゃんと決めてこい』と言われ……。家に帰ったあと、妻に『もう投げられないから辞めるわ』と伝えました」

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川崎さん

オンライン居酒屋でファンと交流する川崎さん

 落合監督に決意を伝えると、「引退するなら、明日先発で投げろ。世話になった人を、好きなだけ呼んでいい」と言われたそうだ。翌日の試合は本拠地最終戦で奇しくも古巣ヤクルトとの試合だった

「登板後に花束を渡してもらったあと、試合中にも関わらず、両軍ベンチから選手が出てきてくれて、胴上げしてくれました。多分、史上初めてのことだったのではないかと思います。それまでに味わった色々な苦しみが、この瞬間で吹き飛んだような気持ちでした。

 普通は、4年も試合に出ていない選手がいたら、人知れず『フェードアウト』していくはず。今の自分があるのは、落合さんに気を遣っていただいたおかげと思っています」

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