bizSPA!フレッシュ

年収2000万円を捨てて…元「キーエンス」のトップ営業マンが独立した理由

学び

 数ある日本企業の中でも特に給与が高いことで知られるのが、センサーなどの電子精密機器メーカー、キーエンス。『就職四季報2019年版』(総合版)によると、給与情報が公開されている1113社のなかで平均年収がもっとも高く、その金額はなんと、1839万円(平均年齢36.6歳・Yahoo!ファイナンスより)

キーエンス

※画像はイメージです(C)Mohamed Ahmed Soliman

 当然ながら学生からの人気も高く、採用試験の通過は困難を極めます。そんなキーエンスに初の新卒採用を行った年に入社し、2年目にして営業ランキングトップを獲得したのが、今回お話を聞く株式会社FAプロダクツの天野眞也会長

 2回にわたり公開するインタビュー。前編となる今回はこれまでのキャリアについて聞きました。キーエンス時代に苦労した経験や、当時の年収にも迫ります

現在取り組んでいる「FA」とは

――まずは現在の状況について簡単に教えてください。

天野眞也(以下、天野):40歳のときにキーエンスを卒業し、現在は複数企業の代表取締役を務めるかたわら、「Team Cross FA」という企業コンソーシアムを運営しています。

――「Team Cross FA」は具体的にどのような組織なのでしょうか?

天野:「FA」とは「Factory Automation(ファクトリーオートメーション)」の略です。要するに、コンピュータ制御技術によって工場での生産活動を自動化する仕組みのことを言います。

 このFAを突き詰めていくことによって最適化された工場を「スマートファクトリー」と呼びますが、そのスマートファクトリーを日本企業によって全てワンストップで提供するチームとして「Team Cross FA」を設立しました。

――なぜこの組織を立ち上げたのでしょうか?

天野:まず近年、日本の製造業は停滞しつつあり、かつて日本企業がトップシェアを誇っていた家電製品の多くは中国や韓国のメーカーに大きな差をつけられています。

 一方で、近年の貿易収支を見ても、日本を支えているのは今も変わらず製造業であることは明らかです。日本は「モノ」を売ったお金で「食料」や「燃料」を買っているのですね。

 では、そんな状況下でも日本が持っている強みは何かというと、それは“高い生産技術”です。そして、その技術を応用した「自動化」については現在も世界を大きくリードしています。この自動化に関する知見こそが、今後の世界の産業を担う重要なカギだと考えているためです。

当時のキーエンスは無名の企業だった

天野眞也

リモートで取材に応じてくれた天野眞也さん

――早速ですが、天野さんがキーエンスに入った経緯について教えてください。

天野:僕は子どもの頃からバイクと車が大好きで、就活でも自動車メーカーが第一志望でした。ただ、それ以外にも金融や広告代理店など幅広く受けていました。

 当時の就活というと、自宅に企業からハガキが届いて応募する形だったのですが、その中で目を引いたのがキーエンスでした。バイク・車好きのおかげで製造業には結構詳しかったのですが、「センサー」というものが何なのかよくわからず、逆に興味を持ったんです。

――キーエンスは当時まだ無名の企業だったそうで?

天野:はい。キーエンスはもともと「リード電機」という名前で、僕が入社した1992年の少し前に社名変更したばかりでした。当然周りの人間もほとんど知りませんでしたね。

おすすめ記事