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年収2000万円を捨てて…元「キーエンス」のトップ営業マンが独立した理由

学び

「努力することのカッコよさ」を学んだ

――2年目以降も破竹の勢いで営業トップを獲得。要因はどこにあるのでしょうか?

天野:僕はもともと、いわゆる器用貧乏タイプで、学生時代も何かを必死にやったこともなく、そこそこの努力でそこそこの成績を出して満足していました。しかし、キーエンスの先輩方から「努力することのカッコよさ」を学びましたね。

 具体的に意識したのは「情報」です。キーエンスは主にセンサーを売っていますが、法人が物を買う理由は「消費」ではなく「投資」です。だからこそ投資に対する効果、つまりセンサーの価値を証明しないといけません。

 また、直接相対するのは法人ではなく個人である担当者です。会社にとっての利益も意識しつつ、担当者の個人の利益まで考える必要があります。センサーを導入したことで会社に利益が出れば、それを見越して進めてくれた担当者にもまた利益があるのです。

――キーエンス社員として大きくステップアップしたきっかけとなった出来事はありますか?

天野:転機は、32歳のときの社長直轄の海外戦略プロジェクトの初代チームリーダーに抜擢されたことです。社長から求められたミッションは、売上1兆円規模の超グローバル企業を新規開拓することでした。手前味噌ですが、このプロジェクトが3年で大成功したことにより、キーエンスは劇的な成長を遂げます。

年収2000万円突破もキーエンスを退社

年収

――天野さんの待遇面にも変化はありましたか?

天野:私自身もこのくらいから年収2000万円を超えてきました。ただし、今では平均年収2000万円なんて言われていますが、このときのキーエンスはまだまだその水準ではなかったので、相当な好待遇だったかと思います。

――キーエンス内で圧倒的な成績を残し、責任あるポジションに就いたにもかかわらず、40歳で起業されたのはなぜでしょうか?

天野:会社に対する不満はまったくありませんでしたが、この先自分がどんなことを突き詰めていったらいいのかを考えたときに、起業という選択に至りました。キーエンスの仕事は非常に楽しかったのですが、トップシェアを獲得して大手メーカーでの導入も進んだ中で、自分自身がやっていきたい総合プロデュースのほうにキャリアを寄せていった形かと思います。

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