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黄金世代のドラフト1位。元ヤクルト投手が語る「プロで活躍できる、できない選手の差」

学び

 田中将大、前田健太、坂本勇人、秋山翔吾、柳田悠岐……。「マー君世代」「ハンカチ世代」とも呼ばれる1988年生まれの彼らは、間違いなくプロ野球選手の黄金世代だ。その中で才能を開花させながら、27歳という若さで惜しまれつつ引退した男がいる。

増渕さん

現在は野球少年たちの指導に携わる増渕さん

 田中将大選手が4球団から指名を受けた2006年の高校生ドラフト(当時は高校生、大学生・社会人を分離指名)でヤクルトと西武から1位指名され、東京ヤクルトスワローズに入団した増渕竜義さんだ

若くしての引退も、後悔はない

 埼玉県立鷲宮高校出身。名の通った強豪校でもなく、しかも甲子園出場を果たせなかった公立校からの1位指名に世間は盛り上がった。

 それに応えるように増渕さんは、ヤクルトでは球速153キロを記録した速球派投手として活躍。中継ぎを任された2010年には57試合に登板し、20ホールドを挙げた。

 しかし、’12年に試合中の右ひじの違和感からイップスに陥り、’14年にトレードで日本ハムに移籍するも再起を果たせぬまま、’15年に戦力外通告を受けて引退した。

イップスにならなければ、もっとやれたのではという思いはあります。でも後悔は全くない。自分の中ではやり切ることができました。だからトライアウトも受けませんでした

教え子がドラフト候補に

増渕さん

長所を伸ばす指導をモットーにしているそうだ

 増渕さんが選んだ新たな道は、アマチュアの野球指導者という公立校出身らしいセカンドキャリアだった。’17年に学生野球資格回復(プロアマ指導者資格)し、現在は株式会社Go everyが運営する上尾ベースボールアカデミー塾長として、地元・埼玉県で幼稚園児から中学生までの野球少年たちの指導に当たっている。

「やはり指導者としては、教え子が甲子園に出場し、プロ入りするのが夢です。かつて中学生クラスで教えていた子が’19年春の甲子園に出場し、アンダー15の日本代表にも選出されたんです。春日部共栄高校の平尾柊翔くんなのですが、プロでも活躍できると思っています。今年のドラフトで指名されるのではないかと期待しています

 早くも第二の人生の夢が叶うかもしれない。だからこそ、改めて考えさせられることがある。

「プロで活躍できる選手と、そうでない選手の差は何なのか」

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