テレワークで消滅危機も…「はんこ屋さん21」が独自経営で好調なワケ
判子業界の巨大企業だった
もうひとつ、判子業界の業界団体である「公益社団法人全日本印章業協会」の会員数も参考になる。地域密着型の判子販売店が多く登録しており、平成28年時点で加盟店は1184店となっている。
これに対してはんこ屋さん21の店舗数は公式サイトで300店舗とされている。まさしくはんこ屋さん21は判子業界の巨大企業なのである(はんこ屋さん21は全日本印章業協会非加盟)。
しかし、ここまで読んで不思議に思われる方も多いだろう。どうして街の判子販売店ははんこ屋さん21ばかりなのだろうか? という疑問がわいてくるのである。そこで次に、この理由について経営コンサルタント的回答と経営学者的回答の2つを考えてみる。
ここで経営コンサルタント的な回答は「はんこ屋さん21は判子業界では珍しいフランチャイズ形態を採用しているから」というものである。実ははんこ屋さん21の運営会社である株式会社グレエイトは判子業界にしては珍しい「フランチャイズ」なのである。
判子業界では珍しいフランチャイズ
フランチャイズとは、コンビニエンスストアなどで採用されている、お店のブランドとノウハウを地元のオーナーに貸してブランド代を徴収するという形態の店舗展開のことである。
米国のマクドナルドが急激に成長したのも、マクドナルド兄弟が創業したお店に対して、レイ・クロックが中心となってこのフランチャイズの手法を取り入れてからだった。このあたりは2016年の映画『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』でも注目が集まった。
コンビニエンスストアやマクドナルドと同じく、はんこ屋さん21はいわば「個人経営の判子販売店にブランドを貸している」という経営形態なのである。なお、はんこ屋さん21の運営会社である株式会社グレエイト自体の売上は17億円弱(2017年9月期)であり、そこまで大儲けというわけでもない。
はんこ屋さん21の月のロイヤリティは開業資金に合わせて5万円か8万円の選択制となっており、それ以外の収入は基本的にはオーナーの売上である。