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「どんな状況でも車には乗らない」女性が信念を曲げた出来事

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バイクで迎えに行く同僚。果たして…

バイク

「澤田という同期なんですが、かなり気の早いやつなんです。Mさんが降りる駅を聞くと、『俺行くわ!』と言い残し、乗ってきたバイクにまたがり、颯爽と研修所を出て行ってしまったんです」

 バイクは乗用車以上に事故率が高い乗り物として、Mさんが嫌悪している乗り物。澤田さんの行動は、絶対に無駄骨に終わると思われましたが。

「同期たちとロビーで話していたら、窓越しにバイクが帰ってきたのが見えたんです。澤田が1人で帰ってきたんだと思いましたが、後部座席に人の姿があったんです。『えっ』と思って、すぐに外に出てみたら、まさかの光景が飛び込んできたんです」

得意の確率論はどこへやら

 驚いたことに後部座席にMさんが乗っています。

「『バイクなんて乗らないんじゃなかったの?』って聞いたら、『澤田くん、事故ったことはないって言うから』って答えたんです。いやいや確率論ってそういうことじゃねえだろって思ったんですが……」

 Mさんは真っ赤な顔で、澤田さんの腰に手を回していました。

「それを見て、澤田が迎えに行ったことで、Mさんの中で“パラダイムシフト”が起きたんだんだなって思って、みんなそれ以上はツッコミませんでした」

 以前から、Mさんが澤田さんのことを「異性として意識している」という噂があったのですが、それはどうやら本当だったようで。今では澤田さんのバイクの後部座席は、彼女の指定席になっているそうです。

<TEXT/和泉太郎 イラスト/カツオ(@TAMATAMA_GOLDEN)>

込み入った話や怖い体験談を収集しているサラリーマンライター。趣味はドキュメンタリー番組を観ることと仏像フィギュア集め

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