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「負けず嫌いだった」全国トップ営業マンが英語学校を起業するまで

ビジネス

英会話スクールで上達するのか?

――そこで2012年にMeRISE(当時、ユナイテッド・リグロース)を創業するに至るわけですが、すでに同業他社もいて、後発です。

呉:先ほどお話したように2000年頃、韓国の大学生に向けに作られたカリキュラムがフィリピン留学です。同業他社は、その仕組みをそのまま日本人向けに使っていましたが、英語を学ぶのは学生だけではなく、社会人もいます。学生であれば「履歴書に入れたい」「TOEICスコアを上げたい」といった動機がありますが、社会人は転職だったり、出世に必要だったり、それぞれ理由が異なります。

 そこで、テキストやレッスンを、全員にオーダーメイドにして、当初は社会人特化型として開校しました。いまは学生も受け入れていますが、学生と社会人の生徒の棲み分けをしたんです。

――実際、英会話スクールって上達するものですか?

呉:留学だけで来るなら最低でも3か月来てほしいです。レベルが高い人なら1か月でも良いと思います。初心者、中級者は上達しますが、帰国するとすぐ元のレベルに戻ってしまうので。あとはパッションです。日本人の英語が上達しない理由のひとつに、ゴール設定がうまくないからだと感じていて、みなさん「英語を話したい」で目標が終ってるんです。

 よく陸上に例えますが、100mを走るのか、42kmを走るのかで、走り方は全然異なります。英語が上達して、それからどうしたいのか。「良い会社に入って年収を上げたい」でもいいので、何か長期の目標設定をすると、上達できると思います。

世界への挑戦を阻む壁を壊したい

呉宗樹

世界への挑戦を身近にしたい

――今後の会社としての目標はあるか?

呉:そもそも会社としては「世界への挑戦を身近に」というミッションを掲げています。世界への挑戦を阻む存在として、私は「語学・教育・国」という3つの壁があると思っています。

 一般的に、お金がある人ほど良い教育を受けられますが、それはあるべき姿ではない。お金のあるなしにかかわらず、誰もが良い教育を受けられる仕組みを作りたいと思っています。そのためにも2025年までにテクノロジーと人の力で語学サービスを、2030年に教育サービスのあり方を変えるつもりです。

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 今回取材も兼ねてレッスンを体験させてもらったが、フィリピン人の講師のみなさんは非常に熱心なことに驚いた。代表の呉さんに話を聞くと「フィリピンの語学教師のレベルは世界に通用する」と答えた。

「フィリピンの英語人口は世界第3位ですし、英語力も確かなものなので、世界中にこの人たちを知ってもらいたいんです。日本人はサービスのクオリティに世界一こだわりますが、そのビジネスマンを満足させられたら、他の国でも受け入れられると思いました」

 MeRISEでは2016年から日本にもスクールを開校している。今では新宿や渋谷など都内を中心に9拠点ある。講師はフィリピン本国から呼ばれた優秀な講師ばかりだ。

「フィリピン生まれの講師のみなさんはパスポートの都合でなかなか日本で働いてもらうのも大変なんです。でも、それって本来あるべき姿ではない。講師のみなさんにも世界に挑戦する機会を与えてあげたいです」

<取材・文/詠シルバー祐真>

株式会社扶桑社第二編集局SPA!Web編集部「bizSPA!フレッシュ」編集長、詠(ながみ)です。映画と音楽が好きです。

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