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マスク品薄に声明を発表「ツルハドラッグ」経営と働きやすさは?

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なぜツルハドラッグが海外売上を計上しないのか

 この点はツルハHDの第57期の有価証券報告書でも「非連結子会社は小規模であり、合計の総資産、売上高、当期純損益(持分に見合う額)および利益剰余金(持分に見合う額)などは、いずれも連結財務諸表に重要な影響を及ぼしていないためであります」と説明されています。つまり、公式資料で明確に「海外拠点の比重・影響は軽微」と表現しているのです。

 しかし、今まで見てきた好業績の小売企業(過去に当サイトで取り上げた例だとユニクロニトリドン・キホーテ)は海外を重要拠点と捉えて出店戦略を練り、実行していました。そのため、海外市場をあっさりと切り離す姿勢について意外に感じる人も多いのではないでしょうか。

 ただ、ツルハHDを「小売業」としてではなく「ヘルスケア関連企業」としてみると、この方針にもそこまで違和感はありません。というのも、医薬品を主として扱う業態の場合はしばしば「各国の医療分野の法律・許認可制度の違い」が障壁となり、国外から参入するのも、国内で新規参入するのもよほどの戦略と実行力がないと難しいからです。

 ゆえに、一度地位を築いてしまえば安定的に利益を出しやすい領域であり、「多大なコストをかけてまで海外事業を開拓する必要がない」という判断も十分あり得ます。

品目別仕入れ・売上額推移から見る今後の戦略

 上記を踏まえると、ツルハHDについては「国内の状況」に絞って議論するのが適切だと言えます。ツルハHDも事業セグメントは「物販事業」のみと定義されていますが、品目別の仕入れ額と売上額のデータが有価証券報告書にて報告されているので、これらを利用して状況を把握します。

ツルハ

図:品目別仕入れ額推移(FY2016-2019・有価証券報告書のデータをもとに筆者作成)

 まず、2019年5月期の主な商品の仕入れ額は下記の通りです。

① 医薬品:1027億1400万円
② 化粧品:940億4600万円
③ 雑貨:1597億5800万円
④ 食品:1480億5500万円
⑤ その他:613億4400万円(※育児用品・健康食品・医療用具等)

「雑貨>食品>医薬品>化粧品>その他」であると整理できます。

ツルハ

図:品目別販売額推移(FY2016-2019・有価証券報告書のデータをもとに筆者作成)

 続いて、同じように2019年5月期の主な商品の「売上額」を確認します。

① 医薬品:1723億3200万円
② 化粧品:1364億6100万円
③ 雑貨:2061億500万円
④ 食品:1746億9800万円
⑤ その他:865億4100万円(※育児用品・健康食品・医療用具等)

 売上額は「雑貨>食品>医薬品>化粧品>その他」。仕入れ額は「雑貨>食品>医薬品>化粧品>その他」と、絶対額のみで比較すると雑貨・食品が優位であるといえます。

 ただし、売上-仕入れ額(≒粗利)で比較すると、「医薬品>雑貨>化粧品>食品>その他」となり、医薬品・雑貨(トイレットペーパー・洗剤など)が現時点での稼ぎ頭であることがわかります。

 ツルハHDは今後、「化粧品」を主力商品として育成したい意向があり、2016年度5月期以降の決算説明資料では必ず「化粧品の販売強化」が施策として挙げられています。食品は売り上げ規模が多いものの、競合も多く、利幅も少ないため、この方針は妥当であると考えられます。

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