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マスク品薄に声明を発表「ツルハドラッグ」経営と働きやすさは?

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株主の構成・特定投資株式はどうなっている?

 ツルハHDは大株主の構成・特定投資株式も興味深いので、今回取り上げます。2019年5月期末時点の大株主の状況は下記の通りです。最大の大株主はイオン株式会社です。

【大株主の状況】(有価証券報告書より引用)

イオン株式会社…13.06%
STATE STREET CLIENT OMNIBUS ACCOUNT OM02…5.37%
日本マスタートラスト信託銀行…4.45%
THE CHASE MANHATTAN BANK…3.68%
RBC IST 15 PCT LENDING ACCOUNT – CLIENT ACCOUNT…3.18%
日本トラスティサービス信託銀行…2.97%
鶴羽樹…2.91%
ORBIS SICAV…2.29%
鶴羽弘子…2.09%
鶴羽暁子…2.07%

 事実、ツルハHDはイオン系列のドラッグストアグループ「ハピコムグループ」に属しています。ただし、ツルハHD自体はイオン色をそこまで強く打ち出さず、独立性を担保しています。

 また、ツルハHDの特定投資株式とその保有目的は下記の通りです(有価証券報告書より引用)。

・イオン株式会社…将来的な事業展開・業務展開等を考慮し、安定的かつ良好な関係を維持するため
・ウエルシアホールディングス…当社が属するハピコムグループの中核企業であり、同グループでの良好な関係を維持するため
・クスリのアオキホールディングス…当社が属するハピコムグループの中核企業であり、同グループでの良好な関係を維持するため
・スギホールディングス…業界情報収集のため
・北洋銀行…主要な取引銀行のひとつであり、同行との良好な関係を維持するため
・大正製薬ホールディングス…主要な仕入先のひとつであり、良好な取引関係を維持するため。

 ここでもハピコムグループ関連の関係維持(イオン・ウエルシア・クスリのアオキ)が理由に挙げられています。

 ツルハHDの場合、オーナー家の意向よりも、イオンの意向およびハピコムグループの動向のほうが鍵を握っていると考えられます。これも、国内での事業基盤を確保するための方法のひとつなので、戦略に忠実な行動であると言えるでしょう。

現場の声:上司対応を正しくできるかが鍵

ツルハ

ツルハホールディングスの口コミトップ(openworkより引用)

 各種口コミサイトは転職支援事業をビジネスにしており、各企業がクライアントにもなっている関係上、著しい悪評は公開されないようになっています。その制約を踏まえて、現場の声を確認していきます。

良い点:
・アルバイトからのスタートでも店長になれる
・残業は少なめ(24.3時間/月)
・平均年収は高め(552万円)

気になる点:
・1人当たりの業務量が多い
・買収前の企業カラーによって、状況が変わる
・上司に気に入られることが評価に影響する

 上司との関係性の良さが評価に強く影響するという意見が複数ありました。また、各種ドラッグストア・薬局の買収を繰り返していることから、同じツルハブランドの店舗内でも、地域によっては店舗のカラーが違うこともあるようです。

 どちらの点も、「周囲の人間関係を読み取り、適切にふるまう能力が求められる」傾向にあることを示しているため、相手に合わせたコミュニケーションと、状況把握力が求められると考えられます。

ツルハ「ホワイト/ブラック度」判定

ツルハ:★★★☆☆

 海外は重視せず、日本国内でのシェア拡充を重視している企業です。日本国内でのシェア確保については対応が徹底しており、今後も一定程度の存在感を維持していくでしょう。

 しかし、内向きな企業風土が現場にも影響している点が気になりました。生活の糧を得るために働く環境としては安定していて、悪くはありませんが、好き嫌いは分かれるでしょう。そのため、★3としました。

<TEXT/ブラック企業アラート(@blackc_alert)>

ブラック企業を生き抜いた歴戦のプロダクトマネージャーが、公開情報からホワイトorブラックを判定し、率直な理由とともにお伝えします。
Twitter:@blackc_alert
note:ブラック企業アラート

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