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月70時間残業も…「固定給で残業し放題」クリエイティブ業界の闇

学び

上司がハワイから怒りの国際電話

ブラック企業
 1年目から大量に仕事を回されて、酷使されてしまう社員たち。紫月さんが在職中、最もツラいと感じたのは、上司がハワイ旅行に行っていたときのこと。

「圧倒的に業務過多だった時期に、上司が有給を取ってハワイに行ってしまったんですね。なおさら仕事が増えて、ついにある案件でデザインが完成しないまま締切が来てしまいました。

 どうしようと、胃を痛めながらハワイにいる上司にデザインを送ると、“激おこエクストリームファイヤー国際電話”が。いたわりの言葉くらいくれたっていいじゃん! と理不尽に思いましたが、あまりの怒りに圧倒されて何も言えませんでした……」

過酷な環境でなくても実績は積める

 オーバーワークに、理不尽な怒りをぶつけてくる上司。心身ともにかなり疲弊しそうな職場ですが、紫月さんが続けられたのは何故なのでしょうか。

「案件が多い分技術と実績が積み上げられる環境なのは確かだったので、『今は修行!』と自分に言い聞かせて働いてました。若い社員が多くて、愚痴を言い合えたことも支えになってたと思います。

 ただ、転職して気付いたのは、そんなに過酷な環境でなくても技術や実績は積めるということ。若い社会人の方には成長できる環境か、自分に合った働き方ができているか、視野を広げて考えて、ぴったりの職場を見つけてほしいと思います」

 ハツラツとした表情で回答する紫月さん。そこには過酷な状況を経験しながらも、デザインに対する愛と誇りが伺えました。

特集・令和の「ブラック企業」事件簿

<取材・文/筒井あやこ イラスト/パウロタスク(@paultaskart)>

フリーライター。漫画紹介メディアでのライターを経て、サブカルチャー、時事ネタなど分野問わず執筆中。三度の飯よりBLが好き。

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