iPhoneケース「装甲騎兵ボトムズ」が誕生。開発のきっかけを社長に聞く
愛用のスマートフォンを傷から防ぐ、スマホケース。耐衝撃に優れたモデルから、個性的なデザインのものまで、新型機種の発売に合わせて様々なスマホケースが生まれている。
そんな数あるケースの中でもひときわ目を惹くアイテムがこちら、電子技販が発売するiPhoneケースブランド「moeco」のFLASHシリーズだ。このケースに使われているのは、なんと本物のプリント基板。製造を手がけるのは、大阪に本社をおく基板メーカーだ。
基板メーカーがどうしてスマホアクセサリーを手がけるようになったのだろうか。bizSPA!取材班では、「moeco」を販売する、株式会社電子技販の代表取締役・北山寛樹さんにスマホケース開発の経緯を伺った。
電子基板のグッズ開発を始めた理由
まるで本体の中を覗いているようなメカニックなデザインがオトコ心をくすぐる、「moeco」のスマホケース。
「ケースの中には、iPhoneの微粒な電磁波を捉えて自然発光するLEDが搭載されています。この回路は実際の工業製品でも使われており、電子基板ならではの“サプライズ感”を楽しむことができます」と北山さんは言う。
もともと電子技販のメイン事業は、鉄道や空港などの交通インフラや産業機械に向けた基盤開発だ。なぜスマホケースを手掛けるようになったのだろうか。
「もともと私の実家が基盤工場でした。幼少期の頃から基盤を眺めて育っていたため、いつかはこの基盤を使ってグッズを作りたいと考えていたんです」
代官山蔦屋書店のバイヤーの目にとまり販売
商品化に本格的に乗り出したのは2014年。この頃、プリント基板の市場では安価で大量に生産できる中国・東南アジアのメーカーが台頭し、製造シェアを奪われるようになっていた。
「企業の下請けで製造していることもあり、不景気になると急に注文が途絶えることもありました。そこで不況を生き残るためにも、他の市場で自社商品を売り出そうと、グッズの開発を始めました」
最初に作ったのは、廃棄となるNG基盤をカットして作ったネックレス。これを工業製品の展示会で並べてみたところ、予想外の反響を呼んだ。こうして出展を重ねているうちに、グッズが代官山蔦屋書店のバイヤーの目にとまり、iPhoneケースの第1号となる「東京回路線図」を販売することとなった。
「東京に出張に行ったとき、鉄道の路線図がまるで回路のように見えることに気づいたんです。そこで『東京の電車の路線図を使ってプリント基板のグッズを作れないか』ということで生まれたのが、この商品です。基盤に描かれた駅舎は、乗降客数によって部品の大きさを変え、実物の工業製品のように駅名を3文字のアルファベットで表記しました」