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営業先はヤクザの事務所。憧れの「コンサル仕事」は超ブラックだった

学び

ヤクザの事務所に飛び込んでしまうことも

 飛び込み営業はイメージ通り、「精神を削られるような作業」だったと言います。

「訪問先の仕事中にいきなり入っていって営業することになるので、基本迷惑がられます。場合によってはキレられることだってあります。どうにかうまく話を運ぶのが営業の仕事だと教えれるんですが……。完全に向き不向きがある仕事だと思いますね。

 運要素も結構あって、『ちょうどコピー機が壊れたところだったから話を聞くよ』なんていうラッキーな時もあれば、うっかりヤクザの事務所に飛び込んで、数時間、怖いお兄さんたちに囲まれるなんてこともありました」

 コピー機は無理でしたが、パソコンを販売することはできたものの、粗利が少ないため、売っても全く評価されなかったそうです。

「情報通信と言えば、やっぱりパソコンがメインだと思うんですが、商品知識も売り方も教えてもらえませんでした。そもそも、自分たちがパソコンを使える環境にないので、自信を持って売ることなんてできないんですが……」

 村井さんたち新人が集められた部署は、50人の新人に対し、3台しかパソコンがありません。提案書を作るために、長蛇の列に並ぶことを強いられる日々でした。

ノルマを達成できないと「恐怖の朝」が待っている

ブラック企業

「やっぱり一番きついのはノルマでしたね。最低でも3日で1本の契約を取らなければならないという鉄則があったんです。それができない場合は、朝礼で儀式をやらされることになります」

 儀式というのは、契約が取れない理由とその日のスケジュールや見込み状況を大声で発表するというもの。

「これが心底辛かったです。少しでも的外れなことを言えば、『そうじゃねえよ!』と否定され、まともなことを言えば『わかってるなら取ってこいよ!』と怒鳴られます。見込み状況の説明では、よっぽど良い商談か結果待ちでもない限り『そんなんじゃ今日も取れねえだろ!』と詰められるんです」

 儀式は契約が取れるまでの間、毎日続くことになります。辛いのはこれだけではありませんでした。

「朝は早くきて、ロールプレイング、つまり先輩や上司を相手に飛び込み営業のトーク練習をするんですが、この時間も地獄でした。トークを徹底的に否定されます。そのうえで先輩のやり方を教えられるんですが、翌朝別の先輩にそのトークを使うとやっぱり全否定されるんです」

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