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新型肺炎「市中感染のおそれ」がある中、冷静な対策とは?

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 新型コロナウイルス(新型肺炎)が引き続き感染拡大しています。本稿執筆時点(2月17日)、日本国内でも海外渡航歴や感染者との接触が明らかではない人の感染、発症、そして死亡例まで出てきました。

マスク 病気

※イメージです(以下同じ)

 中国の武漢市から始まった新型肺炎は日本でも、加藤勝信厚生労働大臣が「現状は前の時点の状況とは異なっている」と言うように、街中で感染する確率がある市中感染の段階に入ったと思われます。

 厚生労働省はどのような症状の時に相談や受診すべきか、その目安を取りまとめ、17日公表しました。それによると、まず一般の人で、

・かぜの症状や37度5分以上の発熱が4日以上続く
・強いだるさや息苦しさがある

 なら全国の都道府県にある「帰国者・接触者相談センター」に相談するよう呼びかけています。症状の自覚がない人も、過剰に心配する必要はありません。正しい知識をつけ、冷静に対処しましょう。

高い確率で死んでしまう病気ではない

 今回は、この2週間ほどにあった新型肺炎関連のニュースに産業医として思ったこと、実際に質問を受けたこと、そして、いま、私たちにできること、について書かせていただきます。

 まず、いくつかの新型肺炎関連ニュースに対して、率直な感想です。

 週末(2/15~16)の間のニュースでも、クルーズ船とは関係のない国内感染者が増えてきています。だからといって、パニックになる必要はありません。

 統計的な死亡率は、中東呼吸器症候群(MERS)で30%台、重症急性呼吸器症候群(SARS)では10~15%に対し、新型肺炎は2%程度と言われています。死亡率で捉えた場合、新型肺炎はかかったら高い確率で死んでしまう病気では決してないのです。

 喫煙と肺がん、HPワクチンと子宮頸がん、ピロリ菌と胃がんなど、今の医学で予防できるのに十分な対処がされていないため、いまだに毎年命を落とす人がいる疾患はほかにもあります。

 新型肺炎を心配する前に対処すべき疾患は他にもあります。

 それに、日本人の死因は、ガン、心臓患、脳血管疾患についで肺炎が第4位です。肺炎は、一部の人(高齢者や基礎体力のない人)にとっては、今初めての脅威ではありません。それなのに、新型肺炎だけをセンセーショナルに騒ぐことに、筆者は違和感を覚えています。

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