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銀座線01系がなぜ東大に?実用化された研究成果も…

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 東京大学柏キャンパス内にある生産技術研究所付属の千葉実験所では、モビリティ研究を始め、様々な研究と取り組みが行なわれてきており、研究成果の一部はすでに実用化されている。

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東京大学柏キャンパスは、“東大の01系”も含め、例年10月のイベントで一般公開されている

 また、東京メトロ銀座線で最後まで運用されていた01系第30編成の6号車(01-630)が研究実験用車両として留置されている。

01系導入のきっかけ

 長年にわたり“銀座線の顔”として親しまれ、新機軸が満載で業界に大きな影響を与えた01系。しかし、小型車両がゆえに、車両とホームドアが連動する機器の搭載が困難なため、2013年4月以降、1000系に置き換えられ、2017年3月12日に引退した。

 現存する01系は、教習車として中野車両基地に動態保存された試作車3両、車体断面などの教育用カットモデル、地下鉄博物館に展示された前面のカットモデル、溜池山王駅の自販機に使われた一部分、熊本電気鉄道01形として活躍する4両のほか、東京大学生産技術研究所付属の千葉実験所に1両が研究実験用車両としてある。

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01系第30編成は、引退直前に『くまモンラッピング電車』を運行(写真の先頭車は01-630)

 東京大学が01系の導入を決めた理由について、生産技術研究所の須田義大教授にお伺いした。

「我々はモビリティ研究のハードやソフトなど、色々な研究をやっています。鉄道においては、操舵台車とか、摩擦制御とか、車内快適性とか、いろんなことを研究してきました。所有している試験台車単体での実験が主でした。2017年に西千葉から柏に移転するに合わせて、千葉試験線をアップグレードすることになり、延長も333メートルとなりました。

 フルスケールの試験線なので、車両を導入できないかと色々と検討したところ、共同研究をやっている東京メトロから、『研究に役に立つのであれば、2017年3月に引退する01系を、どうぞ御活用してください』との言葉をいただきました。ここ(移転先)ができるのも2017年3月と、絶妙なタイミングでしたので、01系の寄贈が決まりました」

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“東大の01系”の車内

 01-630はモーターを積んでいない車両なので、搬入後、本格的には動かしていない。ちなみに、取材時は自走できるよう改造工事中の由(よし)。今後は“外出”する機会があるかもしれない。

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年季が入った運転台

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