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東京メトロ03系が熊本電鉄に“転職”。波瀾万丈な車両の現況

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 東京メトロ(旧営団地下鉄)日比谷線の第2世代車両として、長らく活躍した03系の廃車が進められている一方、地方私鉄に移籍する車両も現れている。

東京メトロ

日比谷線第2世代車両が熊本にやって来た

 第1弾は熊本電気鉄道(以下、熊本電鉄)で、大掛かりな改造を受けた末、2019年4月4日、北熊本9時02分発の上熊本行き(ワンマン。熊本電鉄は全列車ワンマン運転)で新たなスタートを切った。

はるばる熊本で、まずは03形に試乗

 03形は営業運転開始後、菊池線上熊本―北熊本間の主力車両として運用されている。現在(2019年10月時点)のところ1編成のみで、検査時などは01形が務める。上熊本は熊本電鉄のほか、JR九州鹿児島本線、熊本市交通局上熊本線が集う駅ながら「交通の要衝」とは言えないほど人の数が少ない。

 お目当ての03形が上熊本行きとして入線。今や東京メトロ03系は、駅で待っても1時間に1本あるかないかの状況に対し、熊本電鉄03形はいつでも乗れる。私にとっては、“やっと乗れた”という感覚だ。03系は8両編成だが、03形は先頭車のみの2両編成で、号車札は1・8号車のまま。

 乗客全員の降車後、運転士は1号車の乗降用ドアを閉める。その後、先頭になる8号車の乗降用ドアを開ける。坪井川公園まで前方は出口、中央は締め切り、後方は乗車口だ。乗客のほとんどは8号車に乗り、坪井川公園まで全ドア締め切りの1号車は1人しか乗っていない。

 車体はかなり汚れ、特に8号車は上部が黒ずんでいる。東京メトロでは10日に1度の割合で洗車するのに対し、熊本電鉄は「特に決まっていない」という。車両基地に洗車機がないほか、予備車が少ないことも関係しているようだ。上熊本―北熊本間は6000形(20メートル車)の入線ができないため、01形と03形、計3編成の限定運用である。

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先頭車の車体長は18,100ミリなので、停止位置にピタリと止めても若干ホームからはみ出てしまう

 03形は18メートル車で、先頭車は100ミリのオーバーハングをもたせた影響なのか、ホームの北熊本寄りでは若干はみ出している。無論、乗降に支障はなく、8号車の“御尊顔”はホーム隣接の歩道でも撮影できる。

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 駅構内の控室から運転士が現れ、発車が近づく。

「毎度、熊本電鉄を御利用いただき、ありがとうございます」

 運転士が乗務員室内で自動放送の作動ボタンを押すと、「熊本電鉄」というフレーズが新鮮に聞こえる。以前は社名ではなく「電車」を用いていた。ある意味、堂々としてすごい。『くまモンのラッピング電車』や東京メトロの車両が相次いで移籍したことで、熊本電鉄の知名度が上がってきたようだ。

銀座線と都営三田線の乗り換えが熊本でも!?

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車両連結部に熊本電鉄伝統のベル(緑色の突起物)を設置

「ジリリリリリン」

 車両連結部からベルが鳴り、乗降用ドアが閉まる。ドアチャイムは先頭車のみ鳴動し、音も営団地下鉄仕様から熊本電鉄仕様に変えている。

 定刻通り10時50分に発車。韓々坂を発車すると坂道を登り、熊本電鉄唯一のトンネルを走破。熊本電鉄移籍後も03系時代と同じボルスタレス台車を履いていることもあってか、乗り心地はよく、揺れが小さい。

 坪井川公園を発車すると、左へ曲がり、藤崎線に合流。わずか9分で終点北熊本3番のりばに到着した。

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東京メトロ時代、集電方式や線路の幅が異なるため、双方が顔を合わせることは1度もなかった

 ほどなく、隣の1番のりばに元東京都交通局都営三田線の6000形『くまモンのラッピング電車』1号車の藤崎宮前行き、向かいの2番のりばには元東京メトロ銀座線の01形『くまモンのラッピング電車』2号車の御代志行きが相次いで到着。ともに東京の地下鉄で活躍した車両が地上で、しかも直接顔を合わせるのだから、感慨深いものがある。

 現在、03形の運行区間は菊池線上熊本―北熊本間のみ。国土交通省から認可が下りると、藤崎線全線(藤崎宮前―北熊本間)及び、菊池線北熊本―御代志間の運行もできる。1日も早い全線の運行を心待ちにしたい。