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放送作家・高須光聖が語る、戦友・ダウンタウンと伝説のディレクター

暮らし

「面白いと思われたかった」伝説のディレクター

――そこから、関西で大人気となった番組『4時ですよ~だ』で放送作家デビュー。朝7時出勤、深夜3時まで働いて、初月の給料は3万円だったそうですね。

高須:条件でいったら最悪ですよね。人手も足らなかったから、AD業務も兼ねて仕事して。放送作家の先輩がよく飯に誘ってくれてありがたかったけど、その代わりにその人の分のアイデアを考えなきゃいけないんですよ。そんなジレンマも抱えつつやってましたね。

――その後にスタートした伝説の深夜番組『夢で逢えたら』では、高須さんのコント台本がほとんど相手にされなかったそうですが。

高須:この頃はめちゃめちゃツラかった。『ダウンタウンのごっつええ感じ』でも週に80本のコントを書いてたんですけど、ネタなんかそんな簡単に思いつかへんし、ぜんぜん採用されへんし。ただ、あるときからシステムが変わって、ちょこちょこ採用されるようになっていったんですよね。

『夢逢え』も『ごっつ』も、もともと台本をチェックしていたのは、ディレクターの星野淳一郎さん(故人、享年57)。高校時代に『27時間テレビ』の企画書をつくったような優秀な方です。

 ボロッカス言われることもあったんですけど、僕のコントが使われるようになってからすごく関係性が変わった。出会った当初は無視されてたし、ずっと「この人に面白いと思われたい」っていうのがあったから、あのときはめちゃめちゃ嬉しかったですね。

細いライン上を歩くほうが面白くなった

おわりもん

8月に上梓した初の小説『おわりもん』(幻冬舎)

――現在、番組でご一緒されているなかに『水曜日のダウンタウン』のプロデューサー・藤井健太郎さんがいます。昔と比べて、若い世代がつくる番組に違いを感じたりしますか?

高須:昔から僕は「テレビっ子の人が、優秀な演出家になる」と勝手に思っていて。藤井はすごくダウンタウンの番組が好きだし、一緒にやってもぜんぜん違和感ないですね。

 ただ、藤井って人間は本当に意地悪な視線で番組をつくるんですよ。いまってコンプライアンス的な部分がうるさい時代じゃないですか。それを逆手にとって、視聴者がハラハラするようなことをあえてやって、番組を面白くしようとしてるんです。

 昔と違って、テレビマンだけじゃなく視聴者もコンプライアンスのギリギリの線を理解してる。テレビが成熟してやれることが少なくなって来たからこそ、細いライン上を歩くほうが面白くなったというのはあるでしょうね。

おわりもん

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ダウンタウン、ウッチャンナンチャン、ナイティナイン……多くの煌めく才能と数々のヒット作を生み出してきた著者が挑む、究極の人間讃美の物語。

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