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元公務員ランナー・川内優輝が、世界陸上にこだわる理由

暮らし
川内優輝

今年5月に元デンソー陸上部の水口侑子さん(右)と結婚。夫婦でレース参加も

公務員時代に比べて収入はアップ!

 公務員時代に比べ、収入も大幅にアップしたとの噂もあるが、実際のところはどうなのか。

「そこは、まあ、それなりにということで……(笑)。公務員時代は、レースに招待されても出場料をもらえなかったので、そこがもらえるようになったのは大きい。私が学生の頃は、マラソンでは食べていけないと言われていましたが、そうした環境が徐々に変わってきて、いまは活躍すれば、それなりの収入が得られるようになったのはうれしいですね」

 公務員ランナーとしても異彩を放ってきたが、今後プロランナーとしてどんな活動をしていくのかは気になる。

「基本的にレースにたくさん出るスタイルは変えるつもりはありません。もともと私は旅行好きでしたし、今後もできる限りは世界中のレースに出てみたい。プロになったからといってオリンピックだけがすべてじゃないんです。

 たとえば田舎街でなかなか有力選手を呼べないようなレースに私が出ることで地域貢献になれば積極的に参加したいし、地元の子供たちに実際にプロの走る姿を見せれば説得力も違うと思うんです。そういうプロって実はいないんですよ。だから、自分がそうしたプロのパイオニアになれればという思いは強いです」

世界陸上では前回のリベンジを果たす

川内優輝

 目指すは“オンリーワンのプロ”。そして、4度目の世界陸上では前回のリベンジを果たすと宣言する。

「ロンドンでは入賞まであと3秒が届かなかったのですが、プロになった以上、最低限入賞はしたい。そうすれば金メダルは無理でも、銅メダルくらいは見えてくるかもしれない。9位以下だと賞金も出ないし、プロになった以上は賞金も稼がないとマズいですから(笑)。それに、いまのところプロになったといってもこれといった結果を出せておらず、このままだとプロ転向が失敗だったと周囲に言われかねません。そうならないためにも、市民ランナー時代にできなかったことを、プロランナーとしてやれたら最高ですね」

【川内優輝】
’87年、東京都生まれ。埼玉・春日部東高から学習院大へ進み、関東学連選抜として箱根駅伝に2度出場。その後は埼玉県庁の職員として働きながらマラソンを続け、’11年、’13年、’17年と3度の世界陸上代表。マラソン自己ベストは2時間8分14秒(’13年)。昨年世界6大マラソンのひとつ「ボストン」を制し、’19年4月よりプロに転向

<取材・文・撮影/栗原正夫 写真/スポーツニッポン 時事通信社>

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