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元公務員ランナー・川内優輝が、世界陸上にこだわる理由

 今年3月末で埼玉県庁を辞め、4月にプロランナーへ転向した川内優輝(32歳・あいおいニッセイ同和損保)。

 2017年ロンドン世界陸上を最後に日本代表からは引退していたものの、昨年翻意し、自身4度目の世界陸上(9月27日から10月6日、カタール・ドーハ。男子マラソンは10月5日開催)の男子マラソンに出場する。

川内優輝

川内優輝氏

 9月15日に行われた東京五輪への切符を懸けたMGC(マラソン・グランド・チャンピオンシップ)の出場権がありながらも辞退し、五輪ではなく世界陸上にこだわった理由は何か。夏場に北海道・釧路で合宿を行っていた川内を直撃した。

「公務員のクセに仕事しろ!」という叱責も

川内優輝

’17年のロンドン世界陸上は3秒差で8位入賞を逃す。4度目の大舞台でリベンジ、メダルも!?

 埼玉県庁の職員として埼玉県内の定時制高校の事務職に就きながら、市民ランナーとしても日本トップクラスの結果を残してきた。だが、すでに32歳。なぜここにきてプロへ転向したのか。

「正直、2017年ロンドン世界陸上のときは日本代表としては最後だと思っていたし、公務員を辞めてプロになる発想なんてなかったんです。ただ、そのロンドンで目標だった入賞(8位以内)まであと3秒の9位に終わったことが徐々に悔しくなってきて。私は暑さが苦手なので、当初はドーハ世界陸上も、2020年東京五輪も勝ち目はないと思っていました。

 そんななか、2つ下の弟(川内鮮輝)が一足先にプロになって1年もたたないうちにマラソンの自己ベストを約4分も更新して、2013年から更新できていなかった私もプロになったら、もっと速くなるかもと思ったんです。それに、公務員って何かと大変なんですよ(苦笑)。私は公務員時代は有給休暇を使ってレースに出ていたのに、決まって聞かれるのは『今日、仕事は?』ということ。

 一般の人は休みの日に競馬やパチンコに行くのに、私が休みの日にマラソン走って結果が出ないと『公務員のクセに仕事しろ!』って言われるわけです。ある意味で、公務員ランナーとしては限界だったんです(笑)」

正当に評価されないならプロになってしまえ

川内優輝

プロ転向も「縛られるのは嫌い」と企業のサポートを受けつつも、マネジャーやコーチなどはつけずに我が道をゆく川内

 あくまで市民ランナーだが、知名度が上がったことで、煩わしいことも少なくなかった。そして、どれだけ競技で結果を出しても「いつも公務員の割には」というのが評価の前提について回った。

「本来はプロも実業団も公務員もスタートラインに立てば変わらないはずなのに、どれだけ実績を残しても、正当に評価されていないのでは、という思いもありました。それならば、いっそプロになってしまえと。ドーハ世界陸上は、最初は考えていなかったんですけど、プロになったし、日中の暑さが考慮されてスタート時間が23時59分になったことで、私でも戦えるかなと思ったんです」