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猫のスーパー駅長も。14年目を迎えた「人気ローカル線」を現地ルポ

 和歌山電鐡貴志川線、和歌山―貴志間14.3キロは、南海電気鉄道が廃止を表明していた貴志川線を引き継ぐかたちで2006年4月1日に開業。ユニークな施策が話題を呼び、鉄道自体が観光地と化した。そして、開業から13年たった今を乗り歩いてみた。

和歌山電鐡貴志川線2019

和歌山駅前に高層マンションを建設することで、利便性のよさをアピール

和歌山駅前では、高層マンションの建設が進む

 JR西日本の紀州路快速に乗り、終点和歌山に到着。10年ぶりに中央改札口を下車し、駅前を歩いてみると、高層マンションの建設が進められていた。和歌山市としては、人口の増加、利便性の向上を図り、“大阪のベッドタウンにしたい”のだろう。和歌山発の列車は始発が多く、“着席通勤・通学”をアピールできる。

和歌山電鐡

地下道には発車時刻、行先、車両を案内

 本題の貴志川線は、JR西日本和歌山駅構内の古びた地下道を通り、9番のりばから発車する。JR線(紀勢本線、阪和線、和歌山線)から貴志川線へは、改札内乗り換えになるので便利だ。

9番のりばへの階段には、沿線の名所などを案内した額縁が掲示され、神社、公園、熊野古道などを紹介。観光客の誘致に力を入れているようだ。

 窓口で1日乗車券(大人780円、小児390円)を購入する。和歌山駅の中央改札口、東改札口ともJR西日本が管理しており、みどりの窓口や券売機で、貴志川線の1日乗車券を取り扱っていない(注1)。

※注1)貴志川線の乗車券は当日の片道のみ購入可。

ちょっと複雑な貴志川線への乗換方法

 1日乗車券を買う窓口は9番のりばにあるが、改札駅員に申し出れば、きっぷを買わなくても通してもらえるので、安心して利用できる。また、JR西日本によると、和歌山駅中央コンコースに設置されている、和歌山バスのきっぷうりばでも、貴志川線の1日乗車券を購入できるという。

 そして、貴志川線の列車が到着後、駅員が「精算済証」を乗客に渡すので、下車やJR線の乗り換えが容易にできる。

 なお、貴志川線に隣接するJR西日本7・8番のりば(和歌山線、紀勢本線和歌山市方面ホーム)は、2018年3月17日のJRグループダイヤ改正で、地下道側、跨線橋側とも、乗り換え用の中間改札(自動改札機)が設置された(注2)。これだと「精算済証を持っていても、簡単に乗り換えられないのでは?」と思う人がいるだろう。

 JR西日本によると、中間改札に設置されている乗り越し精算機に、貴志川線の精算済証を入れることで、目的地までの乗車券を購入できるという。ただし、特急券や長距離(100キロ以上)の乗車券を購入する場合は、1度改札の外に出て、みどりの窓口などを利用するか、乗り越し精算機横のインターフォンで知らせてほしいそうだ。

※注2)JR西日本によると、和歌山線や紀勢本線和歌山―和歌山市間はワンマン運転区間であり、駅係員不在の駅が多く、乗り越し精算などが必要な場合、乗客に手間をかけていた。そのため、あらかじめ、きっぷを中間改札で精算することで、乗換時の利便性向上を図った。

 参考までに今回の取材翌日、関西本線加茂始発の普通列車亀山行きワンマンカーに乗ると、一部の乗客は交通系ICカードが使えない駅で下車しようとした。運賃箱は交通系ICカードに対応しておらず、現金精算に。運転士が運賃の確認、乗客は支払にそれぞれ手間取り、定刻より3分遅れで発車するアクシデントに見舞われた。