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26歳、現役舞踊家が語る「なぜ日本舞踊家の減少が止まらないか」

「今、20代の踊り手が減少している…」。日本舞踊といえば「江戸時代から続く伝統芸能」「華やかな衣装」といったイメージがある。まるで別世界のようだが、昨今は変革期に入っていて、冒頭のような嘆きが漏れているという。

日本舞踊

※画像はイメージです

 日本舞踊家はどうやって一人前となり、どのようにして稼げるようになるのか? また、20代の踊り手が減っている現状に打開策はあるのか……。

 今回、匿名を条件に当事者である舞踊家さんに取材した。話を聞いたのは、現在、J-POPやロック、アニメソングなどの曲に振りをつける“創作舞踊家”として活動する藤森美樹さん(仮名・26歳)

26歳踊り手が語る「活躍も厳しい現実」

 企業とのコラボイベントを成功させるなど順調に活躍しているように見える藤森さんだが、浮かない表情でこう話す。

「今もアルバイトをしながら活動を続けています。依頼は多ければ月に4本。月によってはゼロです。芸歴が長ければ単価が上がるわけでもない。依頼者を感動させるパフォーマンスをしたり、自分から積極的に売り込まないと次がないです」

 日本芸能実演家団体協議会が、2008年にまとめた「日本の伝統芸能」に関する報告書がある。ここにも「邦舞(引用注、日本舞踊のこと)をとりまく現状は、これまで利用頻度の高かった会場の閉鎖、全国的な公演回数の減少など、非常に厳しいものがある」と報告されている。

 具体的な舞踊家の人数についての記述はないが、邦舞の公演回数についても懸念されており、1999年には全国で1284回を数えたが、2006年には775回にまで減少している。

日本舞踊の道を悩みながら選んだ理由

藤森さん

インタビューに応える藤森さん

 舞踊家の家系に生まれた藤森さんは、家元である祖母から母へと伝統を受け継いだ3代目。初舞台は小学校低学年のころだった。

「周りに日本舞踊やっている子がいなかったから、みんなと違うっていうコンプレックスはありました。そのせいで引っ込み思案になったこともありましたけど、いざ舞台に立つとすごく気持ちよかったんです」

 その思いは10代になっても変わることなく、日本舞踊の講義がある大学に進学し、在学中から学校代表として海外公演を行うなど活躍。大学卒業後は就職をせずに、舞踊家の世界を選ぶも当時の胸中は複雑だったという。

「踊り手の仕事だけでは、すぐに一本立ちできないと分かっていました。ただ、せっかく大学でも日本舞踊を勉強したのに、普通に就職するのは親に悪い。ウチの母や祖母が体を悪くして、お弟子さんの数も縮小していたので……。自分がなんとかしなきゃという気持ちが強かった」