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26歳、現役舞踊家が語る「なぜ日本舞踊家の減少が止まらないか」

「目立ちたいからって品格を下げるな」

 なぜ踊り手や組織は外へ広げようとしないのか? その理由を藤森さんは「みんな叩かれるのが恐いんですよ」と口を開く。

「一度、友だちに頼まれてYouTubeに創作舞踊の動画を投稿したことがあったんです。そしたら、好意的なコメントがたくさんついた。でも、試しに関係者しかつながってないFacebookに同じ動画を投稿したら今度は『目立ちたいからって品格を下げるな』って低評価……。あーやっぱりそういうことか、と」

 個人で挑戦したくてもできなくなるバッドスパイラルの状態にあるという。

創作舞踊のギャラは1日1万円

お金

 バラエティ番組に出演して注目を浴びた花柳凛さん、“ギャル家元”として話題となった五月千和加さんなど、20代で知名度を上げた踊り手はいる。しかし、実際は若者が舞踊家になろうとしても厳しい現実がある。

「(日本舞踊)協会で活躍している旬の踊り手は30~50代くらい。今の20代の見習いは、そこまでいかずに月謝が払えなくなって辞めちゃう。だから若い踊り手がどんどん少なくなるんですよね。古典だけで食べていけるのは60代以上」

 その現実を知り、創作舞踊を軸として活動をする藤森さん自身はどれくらい稼いでいるのだろうか?

「小さいお仕事なら1日1万円。企業とコラボしたりすると数日で一般的なサラリーマンの月収以上はもらえますが、そこまでコンスタントにはありません。依頼があれば着付けも教えますけど、主婦の方がお相手だと2時間で1人2500円が限界です」

運営を依頼して「舞踊団をつくれたら」

 不安定な収入だが、それでも「本当に好きと思える瞬間がある」と踊り手としてのやり甲斐を感じているようだ。

「日本舞踊って“なんにでもなれる”のが魅力。演歌でも映画のサントラでも振りをつけられて、踊り手によってぜんぜん違う表現ができる。本当に価値のある世界だと思うから、本当に外に広げる工夫さえできれば……たとえば運営会社をつくって踊り手を派遣してくれる人がいたらメチャクチャ助かります(笑)。

 わたしは教えるより自分が踊っていたいんです。“素晴らしかった”の一言で、本当に涙がでるほど嬉しい。その感動をもっと広げるためには、わたし一人の体では足りない。舞踊団を作れたらと思います。それこそ、20人とかで踊って20倍分の感動を与えられたら最高ですね」

 藤森さんのような開拓者が増えれば、もっと身近に日本舞踊を楽しむことができるだろう。10年後、20年後の日本舞踊界にとっても、きっと大きな意味があるに違いない。

<取材・文/鈴木旭>

フリーランスの編集/ライター。元バンドマン、放送作家くずれ。エンタメ全般が好き。特にお笑い芸人をリスペクトしている。個人サイト「不滅のライティング・ブルース」更新中

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