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JR西日本、1億円かけて挑む新快速の「有料座席サービス」

暮らし

223系1000番台Aシート連結編成は新快速専用に

 JR西日本によると、223系1000番台Aシート連結編成は新快速のみ運用され、よほどのことがない限り、ほかの列車(快速など)に使われることはないという。また、“増備”については、「これからのご利用状況による」そうだ。

 なお、Aシート連結列車のダイヤについては、「JRおでかけネット」をご参照いただきたい。

 最後に新快速を補完する特急をご紹介しよう。

新快速を補完する特急

 JR西日本運転部によると、関西と山陰を結ぶ特急〈はまかぜ〉〈スーパーはくと〉は、自由席の近距離利用客が増加しているという。新快速を補完する存在として、乗客の着席ニーズに応えているのだ。

 今度のダイヤ改正で、下り大阪発18時以降の特急〈はまかぜ5号〉鳥取行き、通勤特急〈らくラクはりま〉姫路行き(平日のみ運転)、特急〈スーパーはくと13号〉鳥取行きの大阪―姫路間は、尼崎、芦屋を除く新快速停車駅に停まることで、“有料着席サービス”の充実を図る。

 一方、東海道本線米原―新大阪方面間でも、関空特急〈はるか〉の一部が京都以東も運転されるほか、通勤特急〈びわこエクスプレス〉が下り1本、上り2本(平日のみ運転)設定され、新快速を補完する。

新快速

現行の新快速車両は、快速や普通電車の運用も兼ねている(画像は223系2000番台)

 新快速のAシート導入は、「着席ニーズに応えた特急を補完する」という役割を担いそうだ。仮に、2020年以降もAシートを増やす場合、車両運用の見直しや、乗務員の確保といった課題があるものと考えられる。どのように解決するかがカギとなろう。

・223系1000番台

223系1000番台

223系1000番台は、8両車と4両車の2種類が存在する

 223系1000番台は1995年に登場。JRグループの近郊形電車では初めて最高速度を130km/hに設定された車両だ。

223系1000番台

223系1000番台“一般車”の車内

 客室は221系に準じているが、レイアウトの見直しにより、出入口部分のスペースを広くする代わりに補助椅子を設置。ラッシュ時やイベント開催時を除き、使用できる。

 1997年まで92両新製されたが、1999年から製造コストの低減を図った223系2000番台に移行された。蛇足ながら、223系1000番台は関西の新快速車両として、歴代最長のキャリアを誇る。

 JR西日本車両部にその“秘訣”をお伺いしたところ、「ステンレス車体なので、腐食性、耐食性など、鋼体のもちがよいこと。最近の車両は、電子機器や部品に半導体が多く使われている。計画的に更新していくことで、長く使えるようになっている」と述べた。

<取材・文/岸田法眼 取材協力/西日本旅客鉄道>

レイルウェイ・ライター。「Yahoo! セカンドライフ」の選抜サポーターに抜擢され、2007年にライターデビュー。以降、ムック『鉄道のテクノロジー』(三栄書房)『鉄道ファン』(交友社)や、ウェブサイト「WEBRONZA」(朝日新聞社)などに執筆。また、好角家の側面を持つ。著書に『波瀾万丈の車両』『東武鉄道大追跡』(アルファベータブックス刊)がある

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