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いまだにFAXが重宝される業界の謎。意外な利点も… #全宅ツイ

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建築業界でも似た状況が…一級建築士が語る

「FAXを使ってるのは不動産業界だけではありません。建設関係の職人さん、業者さんとのやりとりでも現役です」

 こう語るのは一級建築士のお鯛(@otto_morgen)氏です。建築業界の実情について、ため息混じりに言います。

「メールアドレスはあるけど、まず見ない職人さんが多くて。メールを送った後に電話で『メール送りました』と連絡をして、その返事は手書きのFAXで送られてくる、なんてやり取りしてます」

 個人の職人ならまだしも、会社員でも全くメールが使えない人もいるのだとか。

「この前なんて50代の現役商社社員に、『数字のミスがあると怖いのでメールでやり取りしませんか?』と言ったら、『メールは使えないので無理です!』ときっぱりお断りされたことがあって唖然としました」

 このため「若手社員でもメールに添付されたPDFをわざわざ印刷して、手書きで書き込んでFAXする非効率なやり取りをしている」と、お鯛氏はボヤきます。

相手への思いやりがFAXを存続させる?

ファックス

 メールやLINEの手軽さを知る者からすると、非効率に思えるFAXでのやり取り。しかし意外なことに、あくの氏はFAXに対して「あってもいいんじゃないでしょうか。これでしか連絡取れない方がいて、仮に他の連絡方法を提案して『それなら取引しなくてええ』と言われたらそれまでですから」と肯定的です。

 さらに「大事なのは相手のデバイスにあわせること。物件情報を占有してる方に合わせたアプローチで迫れば良いと思ってます。合理的な行動が成約につながるわけでないので、なんでもいいです。取引ができれば」と達観した様子。

 また、ケビン氏も次のように指摘します「不動産業界の殿上人たる地主さんにPCを使わない人が多いことから、『お客様に最適化する』必要があります。これこそ商売の鉄則であり、不動産業界で今でもFAXが使われる理由といえます」。

実はFAXにはこんな利点も…

 デメリットばかり目立つFAXですが、意外なメリットも存在するようです。紙だからこその利点について、あくのふどうさんさんは「不動産取引では、図面や概要書などペーパーが多いので、そのまま一緒にファイリングできるのは利点です。紙で見せることで他人との視点を合わせやすく、お年寄り相手でも違和感を与えないのは便利です」と語ります。

 お鯛氏は、メールと比較して「プッシュ型」であるFAXに優位性があると指摘します。

「メールはソフトを立ち上げて受信しないと読めないプル型ですけど、FAXは勝手に出力されるプッシュ型です。これがFAXが生き残っている理由だと思います。必ず出力されるというFAXのリマインダ機能はありがたいのですが、勝手に広告を送られて紙が無駄になるのが難点です」

 セキュリティの観点からアドバテージがあるとするのが、ケビン氏です。

「FAXはIT業界で『セキュリティ面で優れており、情報漏洩リスクが少ない』という変な評価を得てます。デジタル情報は、一度漏えいすると容易に無限コピーされます。しかし、FAXなら仮に誤送信しても、被害は限定的となる可能性が高い。もし誤って一般家庭に送っても、ゴミ箱直行で終わりじゃないでしょうか。もちろん誤送信しないのが一番ですが」

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