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「就活ルール廃止」が一転、存続へ。結局どっちがメリットあるの?

学び

「抜け駆け企業が続出する」経団連の懸念が現実に

 このこと自体は「学生が学業に専念できるようにするため」というのが理由でしたが、今回、経団連が「就活ルール廃止」に踏み切った背景について海老原さんはこう解説します。

「経団連側は『8月1日に後ろ倒しにすれば、抜け駆けする企業が続出する』と懸念を示していました。2014年に8月解禁に変更した結果、その通りになってしまったのです。

 その後、6月解禁に変更されましたが、抜け駆けする企業は減らなかった。『企業がルールを守らないのは経団連が悪い』と叩かれ、『それならもう経団連としてはタッチしない』と就活ルール撤廃を決断したという経緯があるのです」

就職活動の自由化は、結局メリット、デメリット?

経団連会館

東京都千代田区にある経団連会館 ©RESPITE

 そもそも就活ルール廃止について「企業側にも就活生にもメリットは考えられなかった」と海老原さんは断言します。

「1997~2002年の間、『就職協定』が廃止され、自由化された時期があったのです。結果、企業側も学生側もヒドく疲弊しました。採用活動がどんどん前倒しになったことが原因です。その結果、2年生から就活を開始しなければならなくなり、学生たちが非常に疲弊することになりました」

 採用活動が通年化することで、遅くまで採用窓口を開ける企業が増えるということはないのでしょうか?

「『就活の通年化』と言っても、採用活動が後ろ倒しになることはありません。いつの時代も、人気企業はすぐに採用が終わってしまう。現在もネット検索大手や某大手アパレル企業が秋まで窓口を開けています。

 しかし彼らは求めている人材を確保できていないから開けているだけ。しかし、優秀な人材はすでに人気企業に採られています。そのため、多くの企業は採用活動を前倒しするしか手段がなくなるのです」

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