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今年大阪にオープンした、ロート製薬が運営する食の複合施設「ロートレシピ」とは?

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ロート製薬が運営する「食の複合施設」「ロートレシピ」とは?

一般医薬品、化粧品などの製造販売を行うロート製薬。特に一般に馴染み深いのは目薬やコンタクトケア商品などだと思うが、同社では近年「ウェルビーイングな社会の実現に貢献する」という取り組みを数多く実施している。

ウェルビーイングとは「Well(良い)」と「Being(状態)」を融合させた「健康」「幸福」「福祉」などに直訳されるワード。ロート製薬ではこの「ウェルビーイングな社会」を実現すべく、結果的に「薬」だけでない多岐にわたる展開を行っているわけだが、そのうちの一つが食事業。「健康」を突き詰めて考えていった際、「食」を通した毎日のヘルスケアサポートに辿り着いたのだという。聞けば、「『食』を『薬』同様の柱にしていきたい」といった発表もあり注目を浴びている。

今年、こういったロート製薬の思いを具現化した施設が大阪に誕生した。大阪・茶屋町の商業施設「Nu茶屋町プラス」の中にある「ロートレシピ」という店舗だ。

「ロートレシピ」店頭の様子

「製薬会社の運営」と聞くと、少々堅苦しそうな先入観を持ってしまいがちだが、「ロートレシピ」は有機的かつオシャレな空間。言われなければ、製薬会社による店とは思えないほどだ。

今回は、この「ロートレシピ」のレポートと合わせて、ロート製薬の広報担当者に聞いた話を紹介し、その全貌と思いに迫る。

ファッションブランドと並んでも遜色ないほどオシャレな空間

関西圏在住の若い世代にはお馴染みの「Nu茶屋町プラス」。洗練されたファッションブランドなども入る商業施設だが、この2階に「ロートレシピ」がある。同ビルのオシャレなテナントとも違和感なく溶け込むほど、洗練された雰囲気を醸し出した店舗だが、「食の複合施設」というだけあり、店頭でまず目に入るのが「マーケット」というスペース。定番の調味料をはじめ、お菓子やドリンク、生活雑貨などが陳列されているが、いずれも後述のコンセプト「おなかの底から元気になれる」に基づく、人間と自然環境に優しい商品ばかりだ。

店頭で販売されている地域の食材を活かした「大豆ミート」のディップソースや唐辛子ペースト

人参や野菜のジュースや、オーガニック素材のスープ商品も

どの商品も見ているだけでワクワクするが、堅苦しくなく、今日からでも取り入れられる商品ばかりなのも嬉しい。いずれもオシャレなパッケージデザインでもあり、自分用にはもちろん、贈答などにしても喜ばれそうなものばかりだ。

野菜やハーブ使用のデリとドリンクをいただく癒しの時間

窓から入る日差しを最大限活かした空間

このマーケットのさらに奥にあるのが、カフェ&レストランスペース。広々とした空間で、内装はシンプルでナチュラル。オシャレでありながらも、どこか懐かしさを感じさせる空間で、誰でも落ち着いた時間を過ごすことができる。

筆者はここでランチでいただける「本日のデリセット」をオーダーした。これは季節感、栄養バランスを考え200g相当の野菜を使用したデリの5種盛り合わせ。日替わりなので、内容の細部は日によって変わるが、「おなかの底から元気になれる」料理を、こんなにオシャレにいただけるのは実にありがたい。

「本日のデリセット」1480円 ※この日は「大豆とチーズとトウモロコシのクレンズサラダ」「ビーツのルビーポテトサラダ」「びんちょう鮪と青パパイヤのサラダ」「ゴーヤとひきわり大豆のフリッタータ」「茄子とズッキーニのマリネ デーツとトマトソース」

「びんちょう鮪と青パパイヤのサラダ」

実に手の込んだオシャレで美味しいデリばかりだったが、メニューにはそれぞれの料理の特徴と健康面で期待できる記載などもあった。美味しさと健康面での効果の双方を実現させた「ロートレシピ」ならではのメニューだと思った。

しかし、これだけ美味しいデリを前にすると、「ちょっとお酒を……」という気持ちになるのも正直なところ。そこで筆者はいくつかのお酒類もオーダーしてみることにした。

「自家製ジンジャービア」700円(左)、「ロートレシピオリジナルビール」900円(右)

「柚子&ローズマリーサワー」770円(左)、「ボタニカルジントニック」880円(右)

お酒類もまた野菜を多く取り入れたもの。

生姜の風味がスキっとさせてくれる「自家製ジンジャービア」、バナナのようなフルーティな香りが特徴の「ロートレシピオリジナルビール」。
さらに柑橘&ハーブの融合で、飲み口を軽くしてくれる「柚子&ローズマリーサワー」、クラフトジンを使用しフローラルな爽やかさが魅力の「ボタニカルジントニック」。

いずれもさっぱりとした口当たりで、前述の「本日のデリセット」とのペアリングにピッタリ。美味しいデリと、スキっとさせてくれる酒類、さらに落ち着いた空間によって、これまでに味わったことがない癒しの時間を過ごすことができた。

なお、ドリンク類は、酒類に限らずハーブティ、スカッシュ、クラフトドリンクなども多くあるので、もちろんカフェとして楽しむこともできる。

コンセプト「おなかの底から元気になれる」とは?

体に優しい食事やドリンクだけでなく、落ち着いた時間をも提供する「ロートレシピ」だが、ロート製薬担当者に「おなかの底から元気になれる」コンセプトについて聞いてみた。

「『ロートレシピ』は『おなかの底から元気になれる』をコンセプトにおいしく、健康的で、サステナブルな食事を提案しています。本当に人が必要な素材の選び方から、調理、提供、お腹に運ばれるまで、舌だけではないお腹の底(胃腸)が美味しく栄養を消化吸収することで、身体に元気が巡るという考え方になります。

また、食を起点にこの考えに共感いただく方々がつながる、ウェルビーイングな食のコミュニティでありたいという想いから、『食の複合施設』としています」(ロート製薬・担当者)

さらにカフェ&レストランスペースで提供するメニューは、以下の「3つのお約束」に基づいたものだけを提供しているという。

(1)胃腸をはじめ、体にいいことを選択します……調理法も含めた体にいいことを取り入れます
(2)旬を取り入れます……季節・体調を整えるため、薬膳の考え方をベースに旬の食材から美味しさと栄養価を引き出します
(3)社会と文化を未来に繋ぎます……循環型農業やフードテックを取り入れながら環境や地域社会にも配慮していきます

特に筆者が食べたデリは、これらが強く反映されたメニューだとも。

「ランチ・ディナーともに常時10種類以上提供している『デリ』は、旬の食材を中心に、季節や体調に合わせた栄養バランスと、見た目の楽しさにもこだわり、特に『3つのお約束』を強く反映しています。ぜひお召し上がりいただきたいメニューです」(ロート製薬・担当者)

食生活と胃腸の健康に向き合ってきたロート製薬ならではの施設

「ロートレシピ」のさらなる飛躍に期待大!

改めて考えてみれば、製薬会社がこのような「食」に関する取り組みを実施し、さらにここまでオシャレなアプローチによって「生活者に健康を提案する」するという例はあまり聞かない。しかし、ロート製薬が「前例のあるなし」に関わらず、こういった取り組みを実現しているところは、素直に好感を抱いたし、そして頼もしくも思った。担当者はこうも話してくれた。

「ロート製薬は創業当時から『万病の元は胃にある』と考えてきています。食生活と胃腸の健康に向き合うことと合わせて、『社会をも健康にしたい』との想いで食への取り組みも行ってきました。

その知恵と経験をもとに、胃腸をはじめ、体に良いことを選び、社会も良くしていくために、“ウェルビーイング”な食を追求しレストランや食品としてご提供していくという取り組みが『ロートレシピ』です。

『おなかの底から元気になれる』メニューだけをご用意していますので、ぜひお近くにおいでの際は、お立ち寄りいただければ幸いです」(ロート製薬・担当者)

「ロートレシピ」は今年オープンしたばかりだが、今後さらに注目を集めるようにも思った。合わせて、「ロートレシピ」のさらなる実践や発信にも大きな期待したい。

<取材・文/松田義人>

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ロートレシピ
https://rohtorecipe.rohto.com/
 

音楽事務所、出版社勤務などを経て2001年よりフリーランス。2003年に編集プロダクション・decoを設立。出版物(雑誌・書籍)、WEBメディアなど多くの媒体の編集・執筆にたずさわる。エンタメ、音楽、カルチャー、 乗り物、飲食、料理、企業・商品の変遷、台湾などに詳しい。台湾に関する著書に『パワースポット・オブ・台湾』(玄光社)、 『台北以外の台湾ガイド』(亜紀書房)、『台湾迷路案内』(オークラ出版)などがある

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