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【新宿街中華】朝~晩の通し営業で味もハズレなし。「岐阜屋」でステキな思い出を!

グルメ

「あの店は若いうちに一度は行っておくべきかもな~」とか、「あのフードとの出合いは衝撃的だったな~」とか。本コラムでは、そんな私のお気に入りからお示し(推し飯)を紹介していく。第1回は、新宿「思い出横丁」の街中華「岐阜屋」をレコメンド。

岐阜屋

メニューが絶品で豊富。使い勝手も最高

フードライターでありながら、個人でのグルメ発信を一切していない(できていない)筆者。しかしながらこうして「bizSPA!フレッシュ」での執筆機会を得たことで、ここからゆる~くやっていきたい。読者のみなさま、どうぞよろしくお願いします!

第1回は、新宿駅西口「思い出横丁」の街中華「岐阜屋」。新宿は、20代のバンドマン時代によくライブをやっていた街のひとつで、まさに“思い出”が詰まっている。いまでも駅はよく利用していて、この横丁に訪れることも頻繁だ。

なかでも「岐阜屋」は最も訪問回数が多く、自分にとって特別な一軒でもある。その理由は、「四文屋(しもんや)」という有名大衆酒場グループの会長(出会った当時は社長。四文屋もいつか紹介したい)と仲良くなった店だという点が大きい。

もちろん個人的な出会いを抜きにしても、「岐阜屋」は素晴らしい店だ。大前提として、味が絶品でメニューが豊富だから飽きない。朝から晩まで定休日なしの営業だから「うっかり」がない。街中華の有名店だがいい意味で大行列になることはなく、回転が早いので待つことも少ない。おまけに駅からも近いし、とにかく使い勝手が抜群なのだ。

出入口は2カ所あり、この線路側はいわば黒帯の門だ。埋まっているように見えるが、安心したまえ。逆(通路)側はもっとオープンで入りやすいし、空いている席も基本的に線路側より多い

開業は1947年。思い出横丁は戦後の闇市がルーツであるため、同店は最古参のひとつである。それゆえ常連さんも多いが、接客が非常にフランクかつちょうどいいので緊張することもないだろう。だからか、外国人観光客がくつろぐ姿も珍しくない。

こちらが通路側。同店はカウンターのみだが、写真手前の席は離れのL字型カウンターになっていて、おこもり感とほったらかし感があってビギナーでも利用しやすく、コーナーを使えばグループ飲みもしやすい

そもそも「思い出横丁」自体が昭和のレガシーであるが、2カ所ある出入口、段差のある立体的な構造、上段(通路側)下段(線路側)のコの字と離れのL字型カウンターなど、極めてユニークな空間となっている点も面白い。カウンター酒場の名店であるともいえるだろう。

酒にも白飯にも寄り添う垂涎メニュー

料理の名作は数多いが、ほぼ毎回注文するのが「蒸し鶏」。しっとりやわらかい肉と適度なオイリー感、ゴマ油の香りとさっぱりした塩加減、そしてシャキシャキしたネギと黒胡椒のアクセントがたまらない。

このウマさは、手間をかけた仕込みがキモ。鶏モモ肉を約10分茹でて余分な脂を落としたら余熱でうまみを凝縮、その後ほぐしてタレに漬け、冷やしながら翌日まで寝かせるという技アリメニューなのである。蒸してはいないのかもしれないが、そんな細かいことは気にしなくていい。ウマけりゃそれでいいのだ。

蒸し鶏

「蒸し鶏」450円。練りからしもいい仕事をしてくれる

「岐阜屋」といえば「木耳玉子炒め」(600円)も有名。ニンジンや青菜などが入る彩りのよさが特徴のひとつで、ふんわり卵にコリコリのキクラゲ、ジューシーな肉にシャッキリ野菜と、多彩な食感が濃厚な味付けと相まって、至福のウマさを届けてくれる。

「木耳玉子炒め」600円

「木耳玉子炒め」600円

炒め系なら「トマト玉子炒め」(650円)も見逃せない。同店ならではの彩りのよさは健在で、「トマト玉子炒め」と名乗りつつ肉やキクラゲが入るサプライズ感、そしてバラエティ豊かな味わいもナイスだ。

「トマト玉子炒め」650円

「トマト玉子炒め」650円

点心なら、まずは「餃子」(430円)を。後述するが、同店は親会社が高円寺で「日進軒製麺所」を営んでいるため生地が自家製。フレッシュで、生地と相性抜群の餃子を提供してくれる。食感はムッチリやわらかめで、中身はキャベツ主体でほぼ野菜。ジューシーでボリュームもあるが、やさしい甘みのライトテイストなので、温野菜感覚でシメにもイケる餃子となっている。

「餃子」430円。「水餃子」や「シューマイ」は500円

「餃子」430円。「水餃子」や「シューマイ」は500円

自家製麺のラーメン類やチャーハンも傑作

自家製麺による麺類が最高なのは言うまでもないだろう。おまけに同店は平打ち麺で、独特のツルパツもっちりとした食感がたまらない。もし初訪問となる場合は、やはりスタンダードな「ラーメン 並」(480円)を。ワンコイン以下という良心価格も自家製麺によるところが大きいと思うが、このご時世で頭が下がる思いだ。

「ラーメン 並」480円。大でも580円と激安。2000年代は並350円、大450円だった

「ラーメン 並」480円。大でも580円と激安。2000年代は並350円、大450円だった

たっぷり入った野菜と、その甘みがとけこんだ「タンメン」(600円)も秀逸。シメではなくつまみながらというなら、「焼きそば」(650円)や「固いやきそば」(650円)もオススメだ。

「タンメン」600円。肉も十分入り、食べごたえが抜群

「タンメン」600円。肉も十分入り、食べごたえが抜群

「焼きそば」650円。ソースではなく、塩をベースに醤油を隠し味としたしたあっさり系

「焼きそば」650円。ソースではなく、塩をベースに醤油を隠し味としたしたあっさり系

そして「チャーハン」(650円)もファンが多い一皿だ。さりげないパラパラ食感と、やさしめで重すぎない味付け、具材も卵、チャーシュー、ネギ、カマボコと特別な主張はしないが、それがイイ。つまみにも、食事にもなるお手本のようなチャーハンである。

「チャーハン」650円

「チャーハン」650円

ちなみに、街中華の黒帯といえばBS-TBS「町中華で飲ろうぜ」の玉さん(玉袋筋太郎さん)が有名だが、キメ台詞のひとつが「633は大人の義務教育」だ。633とは大瓶ビールの633mlを指していて、「岐阜屋」も当然633(「キリン ビール 大瓶」680円)。しかも同店は数種類があり、おかわりで運がいいと異なる銘柄を飲める。筆者は「チューハイ」(420円)も好きだが、数人で飲む際には633で乾杯するのがオススメだ。

「キリン ビール 大瓶」680円。筆者は指定したことはないが、希望すれば好みの銘柄を出してくれるはず。小瓶は480円で、こちらには黒もある

「キリン ビール 大瓶」680円。筆者は指定したことはないが、希望すれば好みの銘柄を出してくれるはず。小瓶は480円で、こちらには黒もある

「岐阜屋」は訪問回数が多いためストック写真がそれなりにあり、初回はなかなか形になったが、プライベートでは写真をあまり撮らないため今後がどうなることやら・・・。温かい目で見守っていただきたい。

<取材・文・撮影/中山秀明>
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岐阜屋
住所:東京都新宿区西新宿1-2-1
電話番号:03-3342-6858
営業時間:9:00~翌1:00、木金土~翌2:00
定休日:なし
https://gifuya.com/
※価格は税込。取材時の情報となります。

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東京生まれ、埼玉ローカル育ち、東京在住のライター/編集者/フードアナリスト。得意分野は食で、カテゴリーを問わず取材執筆をしている。

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