【なぜコロナ禍に新千歳ー那覇?】日本一のトンデモ長距離路線を飛ばすピーチアビエーションの戦略とは
沖縄の人たちの北海道感
那覇では、集客の専門家に意見を聞く事ができました。一般財団法人沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)の玉城 裕日郎(たまき ゆうひろう)さんは次のように話します。
「沖縄の旅行者に聞きますと、シニアや家族旅行に人気で年間を通して楽しめる北海道は、沖縄とは違う自然環境や海産物などの食が楽しめる場所として知られます。双方で企業の報奨旅行の行先に選ばれることも多く、需要はありますね。
具体的な企業の動きでは、沖縄県酒造組合による北海道での泡盛普及活動は知られています。日本両端の北海道と沖縄県で双方の地域企業・地域経済の発展を目指す『どさんこしまんちゅプロジェクト』という活動もあります。」
本州にいてはなかなか知ることのできない情報を聞くことができました。
低価格だからこそ、需要を取り込めるという自信
ピーチが路線拡大という強気の戦略を採るのは、コロナ禍は必ず収まるという希望的な観測が前提にあるように感じます。コロナ禍であっても格安であるゆえに移動需要の取り込みや掘り起こしを実現させるという自信が伺えます。
確かに一時的に乗客は激減し、ピーチは苦境に立たされました。それでも感染状況が一段落すれば需要の回復も早くなります。格安だからこそ、その変動もまた大きいのです。需要を取りこぼさないこともピーチが積極姿勢でいる理由になっていると感じることができました。
日本のLCCの歴史は11年目に入ったばかり。輸送力シェアは10%強であり、世界平均の30~50%までにはまだまだ差があります。
ピーチが進めた路線拡充の戦略は、コロナ禍を経て結果を出しています。コロナ禍が収束に向かい一気に利用者が増えたことから、戦略は当たったと言えるでしょう。気兼ねなく飛行機に乗って旅行できる日がそこまで来ています。
<TEXT/北島幸司(航空ジャーナリスト)>
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