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カスハラ客からプライバシー守れる?法改正でバス、タクシーの名札廃止

コラム

【バスやタクシーから消える運転手の名札。期待できる効果は?】

タクシー

バスやタクシーで運転手の名札が掲示されなくなると「ネットで運転手の名前を晒されることがなくなる」「運転手の個人情報が漏れない」「運転手の名前をネット検索できないことからプライバシーが守られる」などの効果が挙げられます。運転手は個人のリスクを背負わずに業務に専念することができます。

一方で乗客は運転手の名前を知ることができないため「ネットに名前を晒すぞ」など、よくある脅し文句のカスハラはできなくなるでしょう。これまでは運転手の名前が乗客に掲示されていることで、乗客の立場からすると一定の信頼、安心に繋がっていました。しかし、運転手をカスハラから守ることも大切です。運転手の名前が掲示されなくなっても乗客が実際に困ることはありません。

【大手企業は続々とカスハラ対策を打ち出している】

カスタマーサポートセンター

任天堂株式会社は2022年10月から製品の修理サービス・保証規定に「カスタマーハラスメント」の項目を追加する対策を打ち出しました。カスハラに認定される行為があった場合は「交換や修理を断る可能性がある」と明記されています。

法人・個人事業主向けの事務処理ソフトの開発・提供を行うfreee株式会社も今年2月「カスタマーハラスメントに対するfreeeの考え方」を公開。自社の考える適切な接客をするために、カスタマーハラスメントを定義し、該当する場合はサービスの提供を断るとの立場を示しました。

任天堂もfreeeも「脅迫」「侮辱」「過剰なサービス提供の要求」をカスハラと定義している点が共通しています。企業が独自のカスハラ対策を打ち出す流れはこれからも続いていきそうです。

筆者が代表理事を務める日本ハラスメント協会も例外ではなく、カスハラ対応に試行錯誤しています。運営している企業のハラスメント外部相談窓口で起きたカスハラの事例を紹介します。ある企業の相談者が日本ハラスメント協会のカウンセラーに対して「暴言」「侮辱」「対応不可能な要求」などをするケースがありました。

筆者はこれらの行為をサービスの範囲を超えていると判断しました。本来はハラスメントの被害に遭っている人を助けるための窓口のため心苦しい思いがありますが、やむをえず相談対応自体を途中で打ち切るという判断に至りました。筆者も自社のカウンセラーを守らなければなりません。相談者が被害に遭って辛いからといって、カウンセラーに八つ当たりしたり、対応不可能な要求をしてもいいわけではありません。

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