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累計90億本売れた森永乳業「マウントレーニア」、製造が追いつかないほど売れたフレーバーは?

ビジネス

コンビニに並ぶさまざまなチルドカップ飲料。飲料メーカー各社やコンビニのPB商品など、多種多様な種類が陳列され、売り場を賑わせている。こうしたなか、“チルドカップコーヒー”という新たなカテゴリーを創造したパイオニアが森永乳業 の「マウントレーニア」だ。デスクや公園などの好きな場所で、手軽に本格コーヒーが飲めるスタイルを提案し、今ではチルドコーヒーおよびチルドカップコーヒーの市場では、いずれもトップシェアを誇っている。

森永乳業株式会社 ビバレッジ事業マーケティング部の佐熊千裕氏

森永乳業株式会社 ビバレッジ事業マーケティング部の佐熊千裕氏


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森永乳業株式会社 ビバレッジ事業マーケティング部の佐熊千裕氏に、マウントレーニアが市場の先駆者として牽引してきた背景や商品開発で心がけていることについて伺った。

シアトル発のカフェラテを日本に初めて持ち込んだ

マウントレーニアの名前の由来は、“シアトルの富士山”と呼称される米ワシントン州・最高意峰のレーニア山から来ている。

シアトルの街とレーニア山 shutterstock.com

シアトルに住む現地の人からは安らぎのシンボルとして親しまれ、その山のように飲用する一人ひとりの心の拠り所になるという思いから、マウントレーニアのブランドが生まれた。

このような背景がありつつ、当時の開発担当者は、日本で知られていなかった「シアトルのスタイリッシュなカフェスタイル」に着想を得たという。

「1993年ごろのシアトルでは、手軽に片手で持ち運べるカップコーヒーが流行っていました。他方、その頃の日本は自宅もしくは喫茶店でコーヒーを飲むのが主流で、屋外で飲むコーヒーといえば中年男性が飲む缶コーヒーのイメージが強かったんです。そこで、エスプレッソとスチームミルクをブレンドしたシアトル発のカフェラテを日本に持ち込み、新しいコーヒーの飲用シーンを創るために『マウントレーニア カフェラッテ』を開発しました」(佐熊氏)

スターバックスやタリーズコーヒーといった、シアトル発祥の大手カフェチェーンが日本に上陸する前に、マウントレーニアは本格スタイルのカフェラテを持ってきたわけだ。

カフェラテの認知拡大やチルドカップ飲料の売り場確保に奔走

だが、カフェラテは日本であまり知られていなかったことから、発売当初は売れ行きが伸び悩んだ。

自動販売機で仕事の息抜きで飲む缶コーヒー、喫茶店でおなじみのウインナーコーヒー(コーヒーの上に生クリームがのったもの)、銭湯の風呂上がりに飲むコーヒー牛乳。

カフェラテを飲むという文化は、まだ日本人のライフスタイルに根付いていなかったわけだ。

そのため、まずはカフェラテの認知度を高めるために、「Caffé Latte」という文字のロゴをパッケージで際立たせ、さらにはコーヒーを持ち歩くスタイルを普及させるべく、ハリウッド女優を起用したCMを展開。

地道にカフェラテの認知拡大や、コーヒーを持ち運んでカジュアルに飲むというスタイルを浸透させていったそうだ。

一方、マウントレーニアのようなチルドカップ飲料は、これまでにない新しい商品だったため、小売先のスーパーやコンビニでの売り場確保に苦労したとのこと。

マウントレーニア インタビュー

「そこで、弊社が培ってきたチルド(要冷蔵)技術を生かし、無菌充填技術(ロングライフ製造)を向上させることで、賞味期限を60日(現在は90日以上)までのばすことに成功しました。これは当時としては異例のことで、流通先の小売業者も日持ちする商品の方が扱いやすいことから、次第にチルドカップ専用の売り場を新設する店舗が増え、販売チャネルを確立することができたんです」

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