【Z世代は何を想う】星野リゾート界の総支配人が語る「変化を楽しむ生き方」
目次
【会社と社会を引っ張る未来】1年後・5年後・10年後の自分
― 1年後の目標を教えてください。
澤田さん:総支配人として、まずはマネジメントをしつつ、「界 仙石原」のサロンをもっと活用していきたいと思っています。サロンはアーティストの絵を展示したり、ワークショップをしたりと多目的に使える場所なのですが、普段あまり活用できていなくて。そこをどう使っていくか、よく考えて実践していきたいです。
― 5年後と10年後はいかがでしょうか?
澤田さん:どちらが先というのはまだ決めていませんが、2つやりたいことがあります。
一つは、海外拠点の運営に携わりたいです。どの施設という希望があるわけではありませんが、地域としてはヨーロッパやアメリカがいいなと。自分が実際に訪れて感じたのですが、スイス、ドイツ、フランスなどには、日本文化に対する感度が高い方が多くいらっしゃるので、日本の温泉文化も受け入れられるのではないかと考えています。
もう一つは、アートマネジメントです。アートマネジメントとは芸術や文化活動と社会をつなぐことなのですが、私はこのアートマネジメントを、温泉旅館で実現できると思っています。例えば、アーティスト、街、温泉旅館の3つをつなげて、地域でアートをもっと活性化していくというような活動ですね。
ゆくゆくは、アートで表現される「日本の伝統的な価値観」を広めていくとともに、それを街の発展や温泉旅館のマネジメントに結びつけられるよう、大学や大学院で学び、実践していきたいと思っています。
【将来のこと】どんな人間になっていたい?
― 将来、どのような人になっていたいですか?
澤田さん:常にチャレンジすることを楽しめる人になっていたいですね。
コロナ禍を経て、「自分って、こんな時こそ楽しめるタイプなんだな」とあらためて認識できました。観光業はかなり厳しい状況だったので、2020年から2021年にかけては帰休(休み)も多かったのですが、それで一気にモチベーションが下がってしまい、家で過ごしていたらいつのまにか1年経ってしまっていた、という人は周りでも多かったと思います。
でも、私はどちらかというと帰休の期間を楽しめていたんですよね。休みでもお給料が何割かいただけて、その上で自由な時間があったので、たくさんのことにチャレンジしました。ナチュラルフードの講座を受講して資格を取得したり、投資の勉強をしたり、さまざまな研修に参加したり……。そうやって過ごしていると、当時勤めていた「界 箱根」がこうしたらもっとよくなるんじゃないかというアイデアも出てきて。チャレンジ精神にあふれる1年でしたね。
― コロナ禍で行動に制限がかかる部分もあったと思うのですが、それでも楽しんで学ばれていたんですね。
澤田さん:今こそ世の中が大きく変わる時なんだ!と感じていました。世界が目に見えて変わっていくのが、すごく面白かったんです。「ワーケーション」などの新しい言葉も出てきましたし、この1年で世の中がこんなに変わるんだということが、すごく興味深かったですね。そんなふうに、時代がどう変わっても楽しめる人でありたいです。
【Z世代を代表して一言】どんな世代でありたい?
― 最後に、Z世代を代表して一言お願いします!
澤田さん:繰り返しになりますが、私は温泉旅館を通じて日本の素晴らしさを日本中にも世界中にも広めていきたいと思っています。Z世代を代表して何か言うとしたら、「世の中の変化、いつでもかかってこい!」という感じですね。
変化を恐れずに、前向きに柔軟に、対応していきたいなと思います。
インタビュアー山崎の「Z世代の想いに触れて」
澤田さんとお話していて、すごく「太陽みたいな人」だなと感じました。探究心に溢れ、その口から発される言葉一つひとつが強烈で、会話しているだけでもエネルギーがもらえます。変化を楽しめるのは今の若い世代の特徴かと思いますが、「今日は何にもしたくない」という日がなく、逆に何かしていないと気持ち悪くなってしまうというのですから、生粋のチャレンジャーなんだなと。
26歳にして総支配人に立候補されたように、やりたいことを実現するために、誰かから与えられるチャンスを待つのではなく、自ら掴みにいくその姿勢に、勇気づけられる人も多いのではないでしょうか。澤田さんが指揮をとる「界 仙石原」、そして日本の文化を世界に轟かす星野リゾートに、これからも注目していきたいと思います!
取材協力:星野リゾート
<取材・文/熊本沙織 撮影/渡辺昌彦 インタビュアー/山崎大> あわせて読みたい 英国No.1クラフトビール「BREWDOG」。炎上すれすれの奇抜なマーケティングとは >>『silent』見逃し配信も話題のTVer、なぜ“伸び悩み時期”を突破できたか