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携帯ショップに大淘汰が到来。「大手家電量販店」が買収で見出した活路

ビジネス

伸びしろは失われている?

 コネクシオの2022年3月期の売上高は1932億円。コロナ禍で2000億円を下回りました。まん延防止等重点措置が終了した後の2023年3月期の売上高も前期比0.9%増の1950億円と予想しており、伸びしろは失われています

コネクシオ

コネクシオの売上高ほか推移 ※決算短信より筆者作成

 そこで2020年3月期から伊藤忠の連結子会社が展開する「ほけんの窓口」とパートナー契約を締結。保険代理店事業をスタートするなど、携帯電話販売に留まらない事業展開をしようとしています。しかし、今のところ目覚ましい成果は出ていません。

小が大を飲み込む大型買収の行方

 2022年にNTTはドコモショップを大量閉店する方針を示したと複数のメディアで報じられています。数百店舗を削減するとの声も聞こえてきます。携帯電話販売の潮目は明らかに変化しました。コネクシオはかつて3000億円近い売上高があり、伊藤忠からすれば、もう十分稼いだというのが本音でしょう

 コネクシオは2022年12月22日に通期業績の下方修正を発表し、純利益を従来予想の29.8%減の40億円に修正しました。中期的な収益力の低下は目に見えており、売却を決めたものと予想できます。ノジマが提示している株価で今回の買収が成立すると、伊藤忠の売却額は単純計算で515億8900万円となります。

 ノジマが携帯電話販売に本腰を入れたのが、2015年3月のアイ・ティー・エックスの買収。投資ファンドの日本産業パートナーズなどから株式を取得しました。当時、ノジマの売上高は2000億円ほど。ITXは2500億円を超えており、売上規模が劣る会社の大勝負に出た買収劇として話題になりました。

 ノジマの2022年3月期のデジタル家電運営事業の売上高は2514億円。2.2%の増加でした。家電事業はコロナ禍の影響が少なく、2019年3月期と比較しても売上高は15.3%増加しています。家電事業は極めて好調です。しかし、携帯電話販売事業はうまくいっているとは言えません

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